研究課題
細胞内ミスフォールド蛋白質は通常細胞内で速やかに分解されるが、申請者らは細胞内ミスフォールド蛋白質が HLAクラスII分子の抗原提示部位に会合するることで、分解されずに細胞外へ輸送されることを発見した。さらに、HLAクラスII-ミスフォールド蛋白複合体は、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群等の種々の自己免疫疾患で自己抗体の標的分子になっていることを明らかにした。さらに関節リウマチにおいてはHLAクラスIIアリルによるミスフォールド自己抗原の提示効率が、HLAアリルによる関節リウマチ感受性と非常に高い相関を示した。この事はHLAクラスII分子による細胞内ミスフォールド蛋白の提示が自己免疫疾患の直接原因として関与している可能性を示している。そこで、種々の自己免疫性皮膚疾患でHLAクラスII分子と会合したミスフォールド自己抗原に対する自己抗体を検索した。その結果、自己免疫性皮膚疾患でHLAクラスII-ミスフォールド蛋白複合体に対する自己抗体を検出した。本研究により自己免疫性皮膚疾患でHLAクラスII-ミスフォールド自己抗原複合体に対する自己抗体が、自己免疫性皮膚疾患の病態に関与する可能性が明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
自己免疫性皮膚疾患でHLAクラスII分子と会合したミスフォールド自己抗原に対する自己抗体を検索する目的で、約100例の自己免疫性皮膚疾患患者よりゲノム解析の同意収得の上、HLAを解析した。さらにそれら患者のHLA-ミスフォールド蛋白複合体に対する自己抗体を解析した。
自己免疫性皮膚疾患でHLAクラスII分子と会合したミスフォールド自己抗原に対する自己抗体を検索する目的で、約100例の自己免疫性皮膚疾患患者よりゲノム解析の同意収得の上、HLAを解析した。それら患者のHLA-ミスフォールド蛋白複合体に対する自己抗体を解析した。さらに疾患特異性との関連やこれらのHLA-ミスフォールド蛋白複合体に対する自己抗体の病的意義に関して解析する。
HLA遺伝子解析を全て外注すると費用がかかるため、大量に効率よくかつ正確に解析する方法を確立するためのコンディショニングを行い、ある程度可能となった。
HLAの遺伝子解析を全て外注せずある程度正確に分析できるようになったため、今後その方法で検体数を増やし、幅広い疾患を解析する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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