研究課題/領域番号 |
15K15424
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
岩本 和也 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (40342753)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シングルセル / 体細胞変異 |
研究実績の概要 |
本年度は、ヒト死後脳からの単一神経細胞核の単離と全ゲノム増幅の条件検討を主眼に検討を行った。ヒト死後脳試料は米国スタンレー財団より入手した健常者前頭葉試料を使用した。凍結死後脳前頭葉試料から粗細胞核成分を調整し、蛍光標識を行ったNeuN抗体、Olig2抗体で処理を行った。NeuN陽性/Olig2陰性群を神経細胞核、NeuN陰性/Olig2陽性群をオリゴデンドロサイト核、NeuN陰性/Olig2陰性群をその他非神経細胞群とした。 今年度の検討は、AS One社のセルピッキングシステムを用いた。抗体標識後の細胞核を希釈し、マイクロウエルが存在するプレート上に展開した。マイクロウエルは単一核が存在できるような径で構成されており、透過光で形態やサイズを測定、蛍光で抗体標識の有無とその強度を測定した。展開した単一細胞核を個別に可視化・数値化した上で、高品質核の選択と取得を行った。抗体反応条件およびサンプル調整条件を複数検討し、単一の神経細胞核群、オリゴデンドロサイト核、その他非神経細胞核を明瞭に区別することができる条件を確立した。 全ゲノム増幅は、Qiagen社のシングルセル全ゲノム増幅用のキットを用いて条件検討を行った。本年度は、細胞核を対象に全ゲノム増幅反応を行い、反応条件特に、反応時間と反応チューブの検討を主に行った。現在のところ確立した条件下で質・量とも良好な全ゲノム増幅が認められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単一の神経細胞核、オリゴデンドロサイト核、その他非神経細胞核を分画する技術を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
単一神経細胞核の採取条件をさらに詳細に検討する。ハイスループット化を図るため、複数の単一細胞解析機器および全ゲノム増幅試薬を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、単一神経細胞核単離の条件検討に多くの時間を費やし、全ゲノムDNA増幅のための詳細な条件検討を来年度以降に移行した。このため、全ゲノムDNA増幅試薬購入のための費用が未使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
全ゲノムDNA増幅試薬の購入に充てる。具体的にはQiagen社あるいはGE社のシングルセル全ゲノム増幅キットを想定している。
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