研究課題
先行研究から、母体ストレスが発達障害発症のリスクファクターであることが示唆されており、さらに近年、孫の世代にまでその負の影響が受け継がれる事象が報告されている。しかしそのメカニズムは不明である。そこで本研究で我々は、マウスを用い、母体ストレスが仔および孫に与える影響の解明を、生化学的、行動学的およびエピゲノム的解析から試みている。現在、母体ストレスによる仔の行動異常(強迫性行動、社会的インタラクションの低下)がオスを介してのみ孫に受け継がれるという非常に興味深い結果を得ている。本研究では、仔の精子のエピジェネティクス変化(エピジェネティックマーク)を介して孫に異常が受け継がれる可能性を検証し、精子エピジェネティックマークと行動異常という表現型の関連を明らかにすることを目的としている。前年度に、より詳細な行動解析を行い、仔マウスおよび孫マウスにおける行動異常を確認した。さらにこれら行動異常に関わる各因子の脳内発現を解析し、数種類の因子の発現の変化を認めた。そこで本年度は、これら因子の発現変化が精子由来かを検討するために、仔マウスの精子のメチル化解析を行った。その結果、これら因子のうち、数種類の遺伝子のメチル化がコントロールと比べ減少および増加傾向を示すことを明らかにした。現在このメチル化変化を詳細に検討している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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