研究課題
「現代抑うつ症候群(新型うつ・現代型うつ):以下「現代うつ」と略する」の多軸的な診断評価法を開発するという本研究では、精神医学的診断、心理検査、各種質問紙などを用いた多軸的なデータを取得するシステムを大学病院内に構築し、患者に加えて健常者からのデータを集積しながら評価法開発を推進してきた。本研究で特徴的な点は、評価ツールの一つとして、個々人の社会的意思決定の特性をノートパソコンの画面を介して評価可能なツール(PC版信頼ゲーム)を独自に開発し用いた点である。予備的に行った健常者(主に大学生)のデータ解析において、男性ではリスク行動が家庭内での恵まれた環境に負の影響を受ける可能性や、女性では信頼行動が抑うつの下位項目である焦燥感と負に相関するという可能性を予備的に見出した(Watabe et al. PLoS ONE 2015)。さらに、「現代うつ」が社会的ひきこもりへのゲートウェイ障害である可能性を一流の国際精神医学誌であるAm J Psychiatry誌に報告した(Kato & Kanba 2017, 2018)。血液検査では、抑うつ重症度が幾つかの血中代謝物と相関することを予備的に見出した(SetoyamaらPLOS ONE 2016)。トリプトファンやキヌレニンなどの代謝物に加えて、血中のHDLコレステロールやコレステロールエステルといった脂質が抑うつ重症度およびうつ病の下位項目の重症度と相関することも見出した(Kuwanoら J Affective Disorders 2018)。「現代うつ」の気質を簡便に評価可能な自記式質問票の開発を独自にすすめており、最終年度に解析可能な症例数が集まったため、現在、因子分析などの解析を終え、質問項目の絞り込みが完了し、公開に向けた論文投稿を準備中である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)
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