研究課題/領域番号 |
15K15432
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
牧之段 学 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00510182)
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研究分担者 |
紀本 創兵 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00405391)
井川 大輔 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526717)
深見 伸一 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90424150)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オリゴデンドロサイト / ミエリン / 前頭前野 / 隔離飼育 |
研究実績の概要 |
平成27年度より試みてきた、海馬スライス培養によるミエリン形成の検討は、結果のばらつきが非常に大きくその解析が困難であると判断し、in vivo実験を中心にミエリン形成とシナプス機能の関連性を検討した。離乳後(生後21日目)から1匹飼いされた後、生後35日目から4匹飼いされたマウスは、離乳後に終始4匹飼いされたマウスと比べて前頭前野V層のミエリン形成が障害されているが、同部位のシナプス機能を調べるべく、前頭前野V層錐体細胞の電気生理学的解析(パッチクランプ法)を行った。その結果、終始4匹飼いされたマウスと比べ、幼若期に1匹飼いされたマウスの前頭前野V層錐体細胞への興奮性入力(excitatory postsynaptic currents:EPSCs)の頻度が有意に低下していることが明らかとなった。しかし、同入力の振幅には差を認めなかった。さらにV層錐体細胞を、大脳基底核などの遠方に投射するprominent hyperpolarization-activated cation currents(prominent Ih) を呈す神経細胞(PH神経細胞)と、対側の大脳皮質に投射するnon-PH神経細胞とに分けて解析したところ、non-PH神経細胞への興奮性入力には差を認めなかったが、PH-神経細胞へのEPSCs頻度は顕著に低下していた。これらの結果をCerebral Cortex誌に発表した(Yamamuro et al., 2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前頭前野のミエリン形成が障害されている幼若期隔離マウスモデルを用いて、前頭前野V層錐体細胞への興奮性シナプス入力の機能変化を詳細に解析しえた。しかしながら、平成27年度より、ミエリン形成とシナプス機能の因果を直接的に解明すべく遂行してきた海馬スライス培養系を用いた実験系の確立が困難となり、良好な結果が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、幼若期隔離マウスを用い、前頭前野V層錐体細胞への抑制性入力を解析していく。また、同部位の抑制性介在神経細胞への興奮性入力、抑制性入力の動態につき検討していく。2016年には、これまでミエリンが形成されていないと考えられてきた抑制性神経細胞の軸索もミエリン形成されていることが明らかとなったため、抑制性入力の解析もミエリン形成との関連から重要性が高まっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
298円の物品がなく、やむなく次年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品購入に使用する予定である。
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