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2015 年度 実施状況報告書

自閉症における胎盤・胎児脳脂肪酸トランスポーター「ダブルヒット」仮説の可能性追究

研究課題

研究課題/領域番号 15K15436
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

吉川 武男  国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (30249958)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード自閉症 / 脂肪酸 / FATP3 / FATP4 / iPS
研究実績の概要

脂肪酸輸送における母体血から胎児の脳までの血液関門は、少なくとも(1)胎盤におけるmicrovillous membrane、(2)胎盤における胎児側の毛細血管内皮、(3)胎児脳における毛細血管内皮、(4)胎児脳の神経細胞膜、がある。(1)で発現されている脂肪酸トランスポーター(FATP: Fatty Acid Transport Protein)には、FATP1, 2, 3, 4, 6があり、(2)ではFATP1, 3, 4, 5があり、(3)ではFATP3, 4があり、(4)では、FATP3, 4があることを文献調査から確かめた。(1)から(4)で共通する分子はFATP3, 4であるので、この2つの分子に焦点を当てて研究を進めることにした。胎児の神経細胞を模倣すべく、ヒトiPS細胞を樹立し、それを分化して神経幹細胞塊(NS: neurosphere)、神経細胞へと分化したものを用意した。FATP3, 4の両遺伝子ともNSおよび分化させた神経細胞で発現していた。また、胎児脳における毛細血管内皮のモデルとして、マウス胎生期E18.5脳を用い血管内皮細胞マーカーとしてCD31を選択した。免疫組織化学的解析により、FATP3, 4ともCD31と共局在していた。FATP3遺伝子のリシークエンス解析では、47個の変異(これらのうち44個が新規でアミノ酸置換を伴うものは29個あった)を検出し、FATP4遺伝においては30個の変異(これらのうち17個が新規でアミノ酸置換を伴うものは14個あった)を検出した。これらの結果は、両遺伝子は稀な変異を多種類持つことを示す。上記の変異のうち、p.Gly209Ser (c.625G>A)は、minor allele frequencyが21.9%と最も高く、遺伝解析においても自閉症と関連が見られた(男性:p = 0.0054;女性:p = 0.0030)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、FATP分子に関して、(1)発現解析、(2)リシークエンス解析、(3)遺伝学的関連解析、を行い、FATP4遺伝子のp.Gly209Ser (c.625G>A)多型に今後の症テインを絞ることができた。

今後の研究の推進方策

FATP4遺伝子のp.Gly209Ser (c.625G>A)多型のin vitro機能解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度に購入したい消耗品があった為。

次年度使用額の使用計画

FATP4遺伝子のp.Gly209Ser (c.625G>A)多型のin vitro機能解析を行う際に必要な生化学的試薬を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Investigation of the fatty acid transporter-encoding genes SLC27A3 and SLC27A4 in autism.2015

    • 著者名/発表者名
      Maekawa M, Iwayama Y, Ohnishi T, Toyoshima M, Shimamoto C, Hisano Y, Toyota T, Balan S, Matsuzaki H, Iwata Y, Takagai S, Yamada K, Ota M, Fukuchi S, Okada Y, Akamatsu W, Tsujii M, Kojima, Owada Y, Okano H, Mori N, Yoshikawa T
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 1-14

    • DOI

      doi: 10.1038/srep16239.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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