研究課題/領域番号 |
15K15440
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
|
研究分担者 |
西嶋 剣一 北海道大学, アイソトープ総合センター, 講師 (60364254)
志水 陽一 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90634212)
東川 桂 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (10756878)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 放射線 / 核医学 / RI内用療法 / 動脈硬化 / 組織因子 |
研究実績の概要 |
動脈硬化症の治療において、心筋梗塞等の成因となる破綻しやすいプラーク(不安定プラーク)を早期に治療することが重要であり、全身に発症リスクを抱える本疾患の根本的な治療法の開発が切望されている。本研究では、動脈内のプラーク破綻とそれに伴う血栓形成に深く関与する組織因子(Tissue Factor, TF) を標的としRI内用療法用薬剤を創製し、本内用療法用薬剤による動脈硬化病巣におけるマクロファージ浸潤の抑制、動脈硬化の治療の可能性を検証する。上記の目的を達成するため平成27年度は以下の項目について検討した。①抗TF抗体の131I 標識前駆体の合成:低分子化抗体と迅速に131I 標識するため、標識前駆体であるN-Succinimidyl 4-hydroxy-3-[131I]iodobenzoate ([131I]SIB)の合成を行った。具体的には3-Iodo benzoic acidを出発原料としてヨウ素標識前駆体であるN-Succinimidyl 4-hydroxy-3- Tri-(n-butyl)stannylphenybenzoateを2段階反応、総収率4.0%で得た。さらに131I と同様にヨウ素の放射性同位元素である[125I]NaIとN-chlorosuccinimide存在下反応することにより[125I]SIBを得た。 ②抗TF抗体のTFに対する親和性評価:今回創製する薬剤の母体骨格となる抗TF抗体について、TFに対する特異的認識能を評価した。具体的には大腸菌発現系を用いてHuman TF recombinant proteinを作成した後、表面プラズモン共鳴測定用チップ(CM5)へ固定化し、表面プラズモン共鳴測定機(Biacore X100)を用いて抗TF抗体の本チップへの親和性について測定した。その結果、予想に反して抗TF抗体はTFに対する親和性が低いことが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、RI内用療法用核種である131Iを抗TF抗体に標識するための前駆体の合成を行っており、目的の薬剤の創製法をほぼ確立した。しかしながら、抗TF抗体のTFに対する特異的結合能について確認できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
前述のように抗TF抗体のTFに対する特異的結合能についての確認が出来ていないことから、平成28年度はTF発現細胞(マクロファージ)を用いた親和性評価を行い、TFに対する認識能の確認を行う。また、確認でき次第治療効果評価についても行うことを計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度では379,223円の未使用金が発生した。これは平成27年度末に購入した物品の支払いが、平成27年4月に支払われることになったため生じたものである。平成28年5月現在では、未使用金はない。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年5月現在、未使用金はない。
|