研究課題/領域番号 |
15K15442
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高井 良尋 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50107653)
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研究分担者 |
廣瀬 勝己 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60623767)
佐藤 まり子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30645263)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低酸素細胞 / 癌幹細胞 / 放射線増感 / 定位放射線治療 / 細胞内活性酸素 |
研究実績の概要 |
1)X線照射後の再酸素化遅延による細胞内ROSの産生と蓄積(廣瀬);通常の酸素条件で培養された細胞では照射されたX線の線量(0, 4, 6 Gy)の大きさに関わらず細胞内ROSの有意な産生は生じなかった。一方で低酸素で培養された細胞では照射されるX線の線量に比例して照射後の細胞内ROSの産生量が増強した。低酸素下の培養細胞を照射後に通常酸素化戻すと細胞内のROS産生量はコントロールレベルまで低下した。 2)X線照射後の再酸素化遅延による細胞死誘因(廣瀬、佐藤); トリパンブルー色素排除試験による細胞増殖の評価: 通常酸素下で6 Gy照射されたときと比較して、低酸素下で6 Gy照射され、照射後すぐに再酸素化された培養細胞の生残細胞数は有意に大きかった。照射後再酸素化までの時間を48、72時間と延長すると、生残細胞数は有意に減少した。同様の条件で、コロニー形成アッセイにより評価したところ、照射後再酸素化までの時間を24、48時間と延長すると、生残率は再酸素化延長とともに有意に減少した。低酸素下で培養された細胞にX線6 Gyを照射し、24時間後に0, 4, 6 Gyの再照射を行った。このとき1回目の照射直後もしくは再照射と30分前に再酸素化を行い、その生残率をコロニー形成法で評価した。照射後に低酸素を継続した細胞では放射線への感受性が増加した。 3)X線照射後の再酸素化遅延によるCSC分布変化;in vitro(髙井、佐藤);フローサイトメーターQuanta SCを用い、Hoechst33342染色とベラパミルを用いたABCトランスポーター阻害によりSP細胞とnonSP細胞を区別し、照射後のSP細胞の経時的な割合の変化を解析することを試みた。しかしながらサイトグラム上で十分な分布の展開ができず、区別が困難のため現在方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作業手順が前後したものの、やや遅れながらもほぼ計画に沿って進行しつつある。一部の計画では機器の問題によりデータの収集が難しい状況もあり、計画変更も検討しながら進行しつつある。ただし、コロニー形成法を中心に時間を浪費する実験条件の策定ができており、今後の進展の加速は十分可能と判断している。 また平成28年度に実施予定であった、CSCに関する低酸素増感剤PR350のCSC細胞表面マーカー陽性細胞のフローサイトメトリー解析はすでに進行中であり、一部は予定より早く進行しているといった状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1)X線照射後の再酸素化遅延による細胞内ROSの産生と蓄積(廣瀬);再酸素化遅延にともなう照射後の細胞内ROSについて、1回線量10-20 Gyまで施行する。細胞周期変化に伴うROS産生量の変化を解析する。 2)X線照射後の再酸素化遅延による細胞死誘因(廣瀬、佐藤);Annexin-V染色、TUNEL assayによりアポトーシスを検出、フローサイトメトリー解析する。カスパーゼ-3/7活性化、Fasやp53活性化の有無を確認する。β-ガラクトシダーゼ活性により老化様細胞死につき検討する。さらに10 Gy×3回のX線照射を低酸素化24時間間隔ごとに施行し、アポトーシスおよび老化様細胞死を呈する細胞の割合変化を解析する。オートファジーの特異的タンパク質LC3抗体よりオートファジーの機能活性化につき検討する。 3)X線照射後の再酸素化遅延によるCSC分布変化;in vitro(髙井、佐藤);CSC細胞表面マーカーCD133の発現によりCSCの細胞比率を定量する。同時に細胞内ROSを示すDCFDAやAnnexin-V-FITC、抗LC3抗体-FITCを同時多重染色し共発現の違いを検討する。長期間細胞分裂をしないPKH26GL(赤)で染色後維持された細胞をCSCと同定し、低酸素下で照射し、低酸素の遷延に伴うCSCからの分化・癌構成細胞動員動態を観察する。FITC結合-細胞表面マーカーで染色し、新たにCSCから分化した細胞割合等を検討する。 4)X線照射後の再酸素化遅延によるCSC分布変化;in vivo(廣瀬);異なるPKH26GL で配色したCSCとnon-CSCを元の構成割合で混合懸濁し、BALBc/nu系免疫不全マウスの下肢大腿部に移植しX線照射10 Gyを24時間毎に3回行う。その後の腫瘍倍加時間および再増殖速度を評価する。腫瘍を摘出・固定後に薄層切片とし、組織学的にも評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の実験計画が遅延しているため、物品購入、旅費の支出を先延ばしすることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に行う実験用の消耗品および成果発表に係る旅費の支出を予定しています。
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