研究課題/領域番号 |
15K15443
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柏倉 幾郎 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00177370)
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研究分担者 |
三浦 富智 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20261456)
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20583735)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 被ばく医療 / エキソソーム / miRNA |
研究実績の概要 |
本研究は、放射線曝露個体エキソソーム内在分子の解析から、「染色体異常解析」に代わる新たな線量評価マーカーへの応用の可能性を検討する事を目的としている。研究初年度である平成27年度は、8週齢の雌C57BL/6JJcl近交系マウスに対して7GyのX線照射を行い、照射直後及び24時間後の各個体より末梢血を採取し、血清中のmiRNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、照射直後に変動する血清中miRNAのなかで24時間後も発現していたのは6種類のmiRNAs(mmu-miR-1897-5p、miR-211*、miR-30b、miR-3474、miR-721、miR-99a)であった。このうち4種類のmiRNAs(mmu-miR-101a、miR-103、miR-3096-5p、miR-652*)は、致死線量放射線ばく露した群でそれぞれ100-fold、64-fold、188-fold、192-fold changeと大きな発現変動がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画通り順調に進み、予定していた研究課題を検討し概ね良好な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度の検討課題1「放射線曝露個体血中エキソソームの解析」を継続して推進すると共に、得られた結果をもとに検討課題2「放射線曝露個体リンパ球の染色体異常解析とエキソソーム内在分子との相関性検討」及び検討課題3「ヒトへの応用のための基礎的検討」に関して特に焦点を当て研究を進める。 平成28年度に検討する具体的な項目は下記の4点である。 ①放射線応答特異的エキソソーム内在分子の探索、②低線量放射線の連続曝露(< 200 mGy):曝露量及び照射時間との関連性、③エキソソーム内在分子と染色体変化の相関性評価、④ヒト胎盤血である臍帯血に対して生体外で放射線照射を行い、含有リンパ球の染色体異常と血漿エキソソーム内在分子の解析をし、相互の関連性を検討する。 特に低線量連続曝露実験では、200 mGy以下の照射集積線量で何点か設定して実験を行う。得られた成果の検出方法や被ばく線量評価マーカー分子によっては、将来の国内医療分野での有効活用を円滑に進める為にも、知的財産獲得を目指した各種申請・出願にも積極的に取組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度使用額で本年度の目標成果が得られたため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越額は、平成28年度実施予定の研究における消耗品購入に充当する予定である。
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