研究課題
高線量放射線照射によって細胞はそのほとんどが死滅するが、ごくわずかな細胞は生存し増殖を開始する。放射線照射によりDNA損傷を受けた細胞では、損傷のタイプや程度に合わせて最適な修復及び細胞チェックポイント経路を選択し、生存または細胞死へ向かう。本研究では、長時間ライブセルイメージング技術を用い、放射線照射を受けた細胞集団の中で、どのような細胞がどのような経路を経て生存への道を辿ったかを追跡し、生存細胞の細胞運命決定までの経路を同定することを最終目的とした。SNAP-53BP1及びmCherry-GemininプラスミドをU2OS細胞に導入し、ライブセルイメージングにおいてもDNA損傷と細胞周期を同時にモニタリングできる細胞株を取得した。得られた細胞株を用いてX線及び重粒子線照射後120時間以上のタイムラプス実験を行い、DNA損傷を受けた細胞の挙動を観察した。X線照射細胞では照射後も複数回の細胞分裂を行い、重篤なゲノム不安定化が徐々に蓄積されることでやがて細胞死が引き起こされる可能性が示された。一方で、重粒子線照射細胞では、初回の細胞分裂後から効率的に細胞死が引き起こされることが明らかとなった。また、照射後の細胞分裂自体もX線照射細胞に比べて抑制されることが示された。これらの結果から、X線照射細胞では、照射後の細胞分裂を通じた細胞周期進行に伴って一定期間後にその生死の運命決定がなされるのに対し、重粒子線照射細胞では、照射直後に細胞死に向かう運命決定がなされている可能性が示された。
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Oncotarget
巻: 8 ページ: 109370-109381
10.18632/oncotarget.22679.
http://www.giar.gunma-u.ac.jp/topics/