一般にひろく公開されている、さまざまな疾患における画像データベースの情報を統合することで、さまざまな疾患における統合的な画像診断システムを樹立することを最終的な目標とし、近年大きく進歩を遂げている機械学習の手法を応用することで、通常、視覚的には異常の同定が困難である画像から、さまざまな疾患の判別および可能性の示唆を行う、真に有用な画像診断補助システムの樹立を目指すにあたって、さしあたり、アルツハイマー型認知症(AD;Alzheimer's disease)および軽度認知障害(MCI;Mild Cognitive Impairment)を対象として、ADNI(The Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative)、OASIS(The Open Access Series of Imaging Studies)といった公開されているデータベースより画像データを取得し、データの統合可能性、再現性についての検討を行った。また、脳形態画像(MPRAGE、IR-FSPGR)に加えて、脳拡散強調画像(DWI; diffusion-weighted imaging)、安静時脳機能画像(resting functional MRI)、T2強調画像(T2-weighted imaging)といったシーケンスや、他のモダリティーのデータについても取得を行い、疾患判別にむけた、シーケンス間やモダリティー間の情報補完に関して、機械学習の手法を用いた検討を行った。現在、脳画像データベースは、高精度化、大規模化にあり、今後、これらの知見と統合し、より精度の高い、統合的な画像診断システムの樹立へと発展させたいと考えている。
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