研究実績の概要 |
本研究は、薬剤開発に用いられているヒト培養癌細胞で高発現を確認した癌関連トランスポーターの安定発現系を分子プローブのスクリーニングに利用して、腫瘍で特異的に高発現が認められる癌関連アミノ酸トランスポーター(AAT)や細胞外排出及び腎尿細管分泌に関与する薬物トランスポーターに対する親和性を評価することにより、腫瘍細胞集積性・滞留性と速やかな尿中排泄性を併せ持つ分子標的腫瘍診断薬の開発戦略の妥当性を検証する。 これまでに、市販のDNAチップを用いて、診断薬開発評価に使用しているヒト培養癌細胞の遺伝子発現レベルを網羅的に測定し、機能分子の遺伝子発現プロファイリングを直接比較可能なデータベースを構築した。また、主要な癌関連AAT発現量のリアルタイムPCRによる絶対定量系を確立した。 また、ポストFDG 製剤の最有力候補である18F-FACBCの前立腺癌細胞への集積に関与したASCT2とSNAT2の単一発現細胞を作成して集積阻害を実施した結果、FACBC はASCT2に高親和性を示した (Nucl.Med.Biol.,40:670-675,2013)。加えてFACBCの癌細胞集積に関して、アンドロゲン誘導前立腺癌や脳腫瘍・炎症間の相異を比較検討した(Brain Res., 1535: 24-37, 2013,Mol. Imaging Biol., 16: 756-764, 2014, Mol. Imaging Biol., 16: 322-329, 2014)。 一方、排泄型薬物トランスポーター(ABCT)による排泄機序解明のモデル化合物として、臨床使用されている99mTc-PMTの胆汁排泄に関与するABCTの単一発現ベシクルを用いて検討し、P-glycoprotein及びMRP2の関与が明らかにした(Nucl.Med.Biol.,41:338-342,2014)。
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