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2016 年度 実施状況報告書

放射線と併用し増感作用を呈する薬剤の検討とその微小環境への影響の検証

研究課題

研究課題/領域番号 15K15454
研究機関京都大学

研究代表者

吉村 通央  京都大学, 医学研究科, 助教 (40597936)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード放射線治療 / 分子標的薬 / 微小環境
研究実績の概要

共同研究先と協議し、放射線増感作用が期待されるいくつかの候補の薬剤のなかから、MEK inhibitorに着目した。RAS/RAF/MEK/ERK経路は、BRAF, RAS mutationを含む様々な癌腫において、過剰発現しており、MEK inhibitorは抗がん作用をもつ新規分子標的薬として注目されている薬剤の一つであり、放射線治療との増感作用も期待することができると考えられる。臨床上放射線治療と併用する可能性がある種々癌腫由来のcell lineにおけるMEK発現についてdata base, 各種論文などから検討し、実験に使用するいくつかの候補を抽出した。まずはClonogenic assayにて、同MEK inhibitorが各cell lineにどのようなtoxicityを持つかを検討した。まず、時間を固定し、濃度を数種類に振り分け、細胞がその時間で死滅する濃度を同定した。さらに、薬剤の至適濃度、時間を検討し、Western blottingによって、MEKならびにERKのリン酸化阻害について検討した。薬剤の効果があり、Toxicityが出現しないと考えられる薬剤の条件下において、放射線照射を行うタイミングを検討した。以上の実験を行い、特に注目したのは、膵癌由来の細胞である。膵癌細胞MIA PACA-2に対し、放射線にMEK inhibitorを加えることにより、細胞の生存はさらに抑制されることが分かった。しかしながら、低酸素化においては、その増感効果が打ち消されることが示されたため、現在そのメカニズムを解明中である。そのほか、担癌マウスを使用した in vivoの実験へと移行する準備ならびに、ほかの悪性腫瘍細胞株でMEK inhibitorが放射線増感効果を呈するものはないか、スクリーニングをかけているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験の条件検討に当初の予定より、時間がかかってしまったため、当初の予定よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

培養細胞を用いた実験によって得た条件を参考にし、担癌マウスを使用した in vivoの実験へと移行する。学内研究協力者と共同開発した低酸素部位、細胞周期を可視化できるレポーター遺伝子を使い、MEK inhibitor投与時の腫瘍内の微小環境の変化について検討する。
さらに、これらの実験で得られた結果を元に、同MEK inhibitorの放射線増感作用、ならびに同薬剤、放射線照射が細胞の微小環境に及ぼす影響について、時間的、空間的な変化、動態を解析、検証する。
その基礎データを元に、将来臨床の現場においての利用の可能性のある腫瘍内放射線抵抗性分画を予測し、放射線抵抗性部位への高精度放射線治療による放射線線量増加臨床応用への足がかりとする。

次年度使用額が生じた理由

動物実験を開始できなかったため、当初確保しいた助成金の一部が残った。

次年度使用額の使用計画

培養細胞を用いた実験によって得た条件を参考にし、担癌マウスを使用した in vivoの実験へと移行する。学内研究協力者と共同開発した低酸素部位、細胞周期を可視化できるレポーター遺伝子を行い、MEK inhibitor投与時の腫瘍内の微小環境の変化について検討する。
その際に必要な、薬剤、マウスなどの費用として同助成金を使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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