研究課題/領域番号 |
15K15455
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大久保 裕史 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50740263)
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研究分担者 |
瀬尾 雄二 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00302000)
玉利 慶介 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30718995)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線治療学 |
研究実績の概要 |
癌幹細胞が放射線治療抵抗性であることを示す報告は多く、癌の放射線治療抵抗性の機序として重要と考えられる。従来は癌幹細胞から癌細胞への不可逆的な分化が想定されてきたが、放射線照射によって非癌幹細胞が癌幹細胞へ転換(リプログラミング)する現象が近年報告された。したがって、放射線治療の治療効果改善のためには、従来考えられてきた癌幹細胞を標的にするだけでなく、このリプログラミングを阻止する方法も重要と考えられる。近年の報告から、標的として①ZEB1、②miR-200が重要である可能性があり、本研究ではそこに焦点を当て、放射線照射によって癌細胞がいかに癌幹細胞へリプログラミングされ、放射線耐性を獲得していくかを明らかにし、ZEB1を標的としたリプログラミング阻害という新たな放射線増感剤開発を目指す。 初年度はin vitroで放射線耐性とZEB1/miR-200の関連と癌リプログラミングの関わりを明らかにする予定であった。実際には、まず子宮頸癌細胞株の放射線耐性化から実験を始めた。他の論文を参照し、幾つかの方法で作成を試みたものの、放射線耐性化は容易でなかった。結局、2種類の細胞株(HeLa, CaSki)のうち、1種類(CaSki)でしか耐性化に成功しなかった。 CaSki放射線耐性株では、想定通り、ZEB1の増加、miR200cの低下を確認できた。したがって、ZEB1は放射線耐性化に寄与している可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定より、放射線耐性株の作成に難渋したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、耐性化のできたCaSkiを中心に研究を進める。今後はZEB1の強制発現株を作り、放射線耐性を持つようになるかを検証する。また、癌幹細胞様の特徴を持つかを確認する。それが確認できれば、ZEB1抑制に働くmiR200cの放射線増感作用が見られるかを確認したい。有望な結果が得られれば、マウスのxenograftモデルを用いて生体内でも同じことが言えるかを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗が遅れたため、予定していた試薬の購入をする必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた試薬は次年度で購入する予定であり、適切な予算執行が可能と考えている。
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