本研究ではボロン化合物を合成し、膜流動性感受性ボロンリポソームの構成脂質として用いた。膜流動性感受性ボロンリポソームは有機溶媒を用いることなく、超音波処理だけでボロンを高濃度含有することができた。また、各種FITC標識ボロンリポソームの取り込みにおいて、メラノーマ細胞に対しては高い蛍光が見られたのに対し、繊維芽細胞ではほとんど観察されず、腫瘍細胞選択性が認められた。このリポソームは、37℃での血清内24 hと4℃での緩衝液中30 dのインキュベート後も高い安定性を示した。さらに、熱中性子照射によって、BSH水溶液群と比較して膜流動性感受性ボロンリポソームによる有意に高い殺細胞効果が示された。
|