研究課題
NK細胞の遺伝学的脆弱性を克服することを目的として、NK細胞の分化・成熟・活性化に即した免疫賦活化あるいは養子免疫療法を開発する。本年度は、癌糖鎖抗体による抗体依存性細胞傷害(ADCC)におけるNK細胞活性化機構を解析した。ある種の固形癌は異好性抗原として糖脂質(N-グリコリル型シアル酸: NeuGc)を表出し、癌抗原として標的に成り得る。我々は、NeuGc抗原がヒト自然抗体やB細胞の標的となり免疫応答が誘導されることを報告している。肝細胞癌に対する肝切除後の臨床サンプル組織を用いて、免疫染色により肝細胞癌におけるNeuGc抗原の表出を確認し、特異抗体の沈着とNK細胞の浸潤を観察した。動物モデルでは、癌細胞上(Hepa1-6、MH22A、CMT-93)のNeuGc抗原が抗体の標的となって惹起されるADCCにおけるNK細胞の役割を、NeuGc抗原の表出を欠損したCMP-NeuAc水酸化酵素ノックアウト(CMAH-/-)マウスを用いて確認した。ヒト骨髄あるいは末梢血CD34+造血幹細胞から誘導したNK細胞は、NKG2D,TRAIL, DNAM-1分子を表出したunlicensed様フェノタイプを示す。KIRと親和性のあるHLA Class I分子の表出したフィーダー細胞と共培養することで、KIRの発現とlicensed様フェノタイプへの分化は確認できたが、機能的licensingの誘導が成し得るた否かは、今後の課題として残った。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Human Immunology
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