研究課題
29年度は28年度に引き続き、Shelf Ready Graft としての異種・同種組織応用技術の開発を進めた。当初はビーグル犬由来の異種バイオチューブをグルタルアルデヒド処理したグラフトを用いたが、自家組織と比較して治癒課程が遅延する傾向が認められたため、29年度では28年度より着手した脱細胞処理に基づいた開発研究を更に進めた。バイオチューブは非常に粗な組織体であり、含有細胞も少ないが、グラフト乾燥重量あたりの残存DNA含有量は移植用脱細胞組織の基準値を遙かに超えるものであったため、様々な条件で脱細胞を試みた。脱細胞処理により力学的強度が低下する可能性が示唆されたが、粗な構造のために、通常の生体血管の脱細胞処理よりも短時間での処理で十分な脱細胞が行われていることが確認できた。結果として強度も十分に保たれる脱細胞条件が得られた。その後、脱細胞処理したビーグル犬由来バイオチューブをラット腹部大動脈に異種移植した。自家由来バイオチューブ同様に良好な組織化と体循環環境下での強度を保持が確認できた。更に同種移植の可能性についての検討も行った。ブタを用いたパイロットスタディーでは脱細胞化同種組織においても良好な結果が得られた。更に経時的変化を観察するためにビーグル犬を用いた同種移植実験への取り組みを行い4週以内の早期に組織再生が誘導されることが明らかとなった。バイオチューブが適応されると想定される、ハイリスク患者・高齢者・未熟児など組織再生能力が低下した患者への応用を想定して、異種動物に加えて健常な成人由来の同種バイオチューブの応用も可能であると示唆された。今後引き続き研究を継続してゆく予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
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