研究課題
マウス膵島のシートの作製が可能であった。一方で、膵島シートの作製における問題点は以下が抽出された。膵島シートの作製では、分散させた膵島を温度感応性培養皿に播種し、平面培養にてシート化する。現行では分散から細胞の播種までの工程で約>30%の細胞の損失が生じている。工程の見直しを行っているが、細胞の損失に対する良策は見つかってはいない。β細胞の特徴的な遺伝子の発現に着目し膵島シートの検証を行ったが、膵島と比し、シートでは顕著に遺伝子発現が低下することが判明した。膵島シートにはまだいくつかの課題があるといえる。また、膵島シートの保存を目的とし、まずはマウス膵島に対する超低温保存を試みた結果、機能を維持したまま膵島を凍結させる技術の確立に至った(Horm Metab Res. 2016;48: 540-9)。引き続き、ブタ膵島のシート化を行った。ブタの膵島シートの作製は可能であり、膵島シートに対する組織学的評価ではNeuroD, Pdx-1インシュリン、C-peptide、グルカゴンの発現は確認できている。また、このシートのSCIDマウスへの移植では、膵島シートは生体内で安定的に生着し、緑色発行をしていることも確認できている。しかしながら、ブタの膵島は分散後細胞間の接着が極めて弱く、シートの作製は安定してはいない。膵島の機能、移植の影響を短期間で評価するには、膵島に関連する遺伝子を用い、移植した膵島に対するエピゲノム解析が有用な可能性が、ブタの遺伝子の多くは既存のゲノム情報が不完全であり、ゲノムワイドな解析が困難である事に直面した。移植用ブタの選定ためのSLA-DNAタイピング技術の確立は、STB法によりブタのSLAは安定して解析が可能であった。これによりSLAマッチングブタでの膵島シートの至適な移植部位の探索ができる評価系を確立できた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
J Diabetes Complications. 2017
巻: 16 ページ: 30529-3
Horm Metab Res.
巻: 48 ページ: 540-9
doi: 10.1055/s-0042-102628. Epub 2016 Jun 24.
J Reprod Dev.
巻: 62 ページ: 511-520