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2015 年度 実施状況報告書

肝臓透明化技術を用いた臓器内部可視化による膵島移植の移植後病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K15481
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

霜田 雅之  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40640529)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード臓器透明化 / 膵島移植
研究実績の概要

不安定1型糖尿病に対し、近年同種膵島移植が行われている。膵島は門脈内に注入されるため低侵襲の細胞移植治療として期待されているが、課題の一つに門脈注入後の低い生着率があり、移植後早期に半数以上が破壊されるとされている。さらに、長期的にもグラフト機能は低下していく。その原因・メカニズムの解明が必要であるが、門脈注入後は外部から膵島が見えなくなり、直接観察することができなくなることが大きな障害になっている。最近、我々はマウス肝臓を構造および抗原性を保持したまま全体を透明にする画期的な技術を開発した。この技術とミリメートル~センチメートルの単位で観察可能なレーザー蛍光顕微鏡を用いると肝臓内部を可視化してマクロ視野および微細構造の双方で3次元構造のまま詳細に観察可能である。本研究では移植後膵島を3次元的に観察し、膵島の全体分布、生着、炎症、血管新生、免疫反応、膵島数の増減、インスリン産生量の変化、β細胞量の変化などを経時的に検証を行うことを目的とする。
平成27年度は、マウス肝臓を用いて、方法を改良してさらに臓器中心部まで十分な透明化を得ることに成功した。その成果を国際学会で発表した。さらにGFPマウスから単離した蛍光を発する膵島を、他のマウス肝臓に門脈経由で注入移植し、肝臓全体を透明化してライトシートレーザー蛍光顕微鏡で観察した。その結果、肝臓全体に分布する膵島を切片を作成することなくマクロ視野で3次元的に観察することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度の研究計画は「①マウス肝臓の最適な透明化方法を確立する。その際、②抗体を用いた染色が可能となるよう抗原性を十分に保持される方法を開発する。③膵島を門脈内移植し、特異的に染色するかGFP発現マウスから単離した膵島を移植し、マクロ3次元的に蛍光顕微鏡観察する。」であった。このうち、「①マウス肝臓の最適な透明化方法を確立する。」については、透明化方法に改良を加えて臓器全体、特に中心部までが十分な透明度を得る方法を開発した。また「②抗体を用いた染色が可能となるよう抗原性を十分に保持される方法を開発する。」については、血管などの抗原に対する抗体を用いた染色は可能となった。他の一部の抗原に対しては、まだ検証が必要である。また「③膵島を門脈内移植し、特異的に染色するかGFP発現マウスから単離した膵島を移植し、マクロ3次元的に蛍光顕微鏡観察する。」については、GFP発現マウスから単離した膵島を門脈内移植し、マクロ3次元的に蛍光顕微鏡観察する実験を行った。透明化処理後も移植膵島は十分な蛍光を発していたため、顕微鏡観察は容易であった。

今後の研究の推進方策

研究はおおむね順調に進捗しているので、当初の計画通り平成28年度の研究を進める。すなわち、 ①膵島移植後のマクロ視野観察および②膵島移植後のミクロ視野観察 を行っていく。①では、マクロ視野での全体的な膵島分布と、経時的な変化を検証する。多くの場合長期的に移植膵島機能は低下するが、膵島数の減少と各膵島のインスリン分泌能の低下の割合は定かでないので、本研究で検証する。 ②では、門脈内移植後膵島や周囲の微細な組織を多重染色した上で多光子共焦点顕微鏡(超微細構造)やシートレーザー蛍光顕微鏡(微細~マクロ構造)で3次元的に観察する。さらに、IBMIR抑制、炎症・免疫反応抑制、血管新生促進を目指した候補薬剤を投与して影響を検証し、膵島の生着率向上を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 3D imaging model for islet grafts in the transparent liver by whole-organ clearing method2015

    • 著者名/発表者名
      Masayuki Shimoda, Koya Shinohara, Wenji Yuan, Shinichi Matsumoto
    • 学会等名
      IPITA-IXA-CTS 2015 Joint Congress
    • 発表場所
      Melbourne, Australia
    • 年月日
      2015-11-17 – 2015-11-17
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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