研究課題/領域番号 |
15K15485
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 祥太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (90746348)
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研究分担者 |
亀井 尚 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10436115)
大田 英揮 東北大学, 大学病院, 助教 (40586905)
松浦 智徳 東北大学, 大学病院, 助教 (50623188)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食道癌手術 / 胃管壊死 / 胃管血流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である胃管血流の改善を確認するにあたり、本研究では実際の食道癌患者に対して、手術前に血管内治療にて左胃動脈と左胃大網動脈を塞栓させ、右胃動脈と右大網動脈からの血流を改善させるものである。
本実験に先立って、予備実験として、大動物モデルでの検討を行った。ブタにたいして開腹下に左胃動脈及び左胃大網動脈を結紮し、一週間生存させその安全性と胃の血流障害の有無や血管増生の有無を確認することとした。 SPFの約40Kgのブタを用いて、全身麻酔下に開腹し、左胃動脈と左胃大網動脈を同定。その後、血流の胃壁の血管の走向と結紮後の血流量の変化を可視化し定量化するために、ICG( indocyanine green )を静脈注射し、赤外光カメラでその血流を撮影した。その後、左胃動脈と左胃大網動脈を結紮し、再度ICGを静脈注射し再度赤外光カメラで撮影した。血流が低下したことを確認した。その後閉腹し、一週間生存させた。一週間後に再度、同様の手技を施行し、結紮した左胃動脈、左胃大網動脈領域の胃壁の血流が結紮直後よりも増加していることをICGで確認した。その後、胃は摘出し、結紮した領域の胃壁が壊死していないことを病理学的に確認した。我々の仮説(動脈塞栓による胃壁内側副血流の増加)がほぼ正しいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究推進にあたり、最終的には食道がん術前の患者に対し左胃動脈、および左胃大網動脈の塞栓を行い血流の評価を行う方針である。しかし、左胃動脈、左胃大網動脈を塞栓し治療を行った症例報告は数例しかなく、安全性を十分に確保することが困難であるとの判断から、倫理委員会の許可を得るには至らなかった。 そのため研究を実行するにあたっては、まずは左胃動脈、および左胃大網動脈を塞栓しただけでは胃に障害をきたさないことを明らかにする必要が生じた。そのようなことから、まず動物実験にて左胃動脈、および左胃大網動脈の血流が遮断されても胃に問題が生じないことを確認し、その後当初の研究計画を進めることに方針を転換した。
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今後の研究の推進方策 |
さらにブタに対して、追加実験を施行しその安全性と効果を検証する予定である。有意性が明らかになったのちは、当院倫理委員会に対して、ヒトに対する血管内治療による左胃動脈と左大網動脈塞栓術の施行の許可を得る予定である。 ヒトに対して塞栓術を施行する場合、ある程度の胃壁の血流低下が予想されることから、実際の手術前に行うことにより、発熱や、胃潰瘍の発生などにより食道癌の手術自体が不可能となる可能性も否定できない。そのため塞栓する程度や、手術の可否に関与しない方法をさらに対策する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は人を対象とした実験について倫理承認が得られなかったため、ブタをモデルとした予備実験を先行させることとなった。倫理申請の手続き、差し戻し、承認可否について大きく時間がかかったため予定した実験を遂行できなかった。そのため、次年度に繰り越し、強力に研究を推進する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
ブタを対象とした予備実験の症例を蓄積する。胃壁内血流の変化についてより詳細に検討する。
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