研究課題/領域番号 |
15K15486
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 正 東北大学, 大学病院, 教授 (00650657)
|
研究分担者 |
亀井 尚 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10436115)
中野 徹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50451571)
藤森 研司 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80264539)
大内 憲明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90203710)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 食道アカラシア / 潜在 / 地域 / レセプトデータ / 抽出 / 診断アルゴリズム / データベース |
研究実績の概要 |
研究の目的:東北大学において食道アカラシアとして手術を施行した17症例のうち、2例が他医にて一旦神経性食思不振症(AN)と診断されていたことから、食道アカラシアと診断されずに他の疾患と診断されている患者が地域に潜在しているのではないかとの仮説を立てた。本研究では、特定の地域の患者の診療報酬明細書(レセプト)データを詳細に解析して食道アカラシアの可能性のある患者群を抽出し、協力施設においてカルテ調査や追加検査依頼を行う等によりANを含む食思不振/嘔吐患者における食道アカラシア患者潜在の有無や診断経緯の実態について調査検討し、ANを含む食思不振/嘔吐症状を呈する患者に対するより適正な診断ストラテジーを提示する。 平成27年度研究実施計画:すでに開発済みの、食道アカラシアを否定できないレセプト病名(神経性食思不振症など計13病名)でスクリーニングする試作ソフトのバージョンアップを図り、協力施設として石巻赤十字病院を選定し、食道アカラシア患者候補者のスクリーニングアルゴリズムを確立する。 研究成果:研究内容について、東北大学および石巻赤十病院の倫理委員会にて承認を得て、試作ソフトが石巻赤十字病院のデータを正常に抽出しうることを確認後、連結匿名化データに変換しうるソフトにバージョンアップした。この新ソフトを用いて、同院の平成26年8/1~平成27年8/31までの外来受診患者のレセプトデータ8922名分を抽出し、匿名化の上アクセス(データベースソフト)データに変換した。一旦ANと診断されていたこれまでのアカラシア症例は、食道透視検査を施行しなかったのがその原因であったため、同検査未施行かつ上部消化管内視鏡検査施行し、かつ好発年令である10歳以上60歳未満の症例186名を抽出、より確率の高い50歳未満の症例に対しカルテ調査を行い、食道アカラシアを否定できない症例2名を抽出することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、研究全体の研究策定、研究内容を東北大学および石巻赤十字病院倫理委員会の承認を得て、すでに開発していた食道アカラシアを否定できないレセプト病名(神経性食思不振症など計13病名)でスクリーニングする試作ソフトのバージョンアップを図り、食道アカラシア患者候補者のスクリーニングアルゴリズムを確立する予定であった。 試作ソフトが正常に作動することを確認し、さらに、データの匿名化な可能なバージョンへのバージョンアップを行い、協力施設(石巻赤十字病院)の1年分の外来レセプトデータに対し、食道アカラシア患者候補者のスクリーニングアルゴリズムをおおむね策定することができ、順調に研究は進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、確立したスクリーニングアルゴリズム二より抽出した石巻赤十字病院の食道アカラシア候補患者に対し、カルテ調査及び確定診断のために必要な精査を主治医に依頼するなど三次スクリーニングを行い、潜在食道アカラシア患者を検索し、フィードバックしながらアルゴリズムの最適化をさらに図る。その上で、既に研究協力協定を締結している石巻市医師会所属の医療施設において、各施設の患者レセプトデータより食道アカラシア患者候補群を特定し、確定診断のために必要な精査を主治医に依頼するなど三次スクリーニングを行い、潜在食道アカラシア患者を検索し、潜在の有無を調査する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度も引き続きさらなる抽出ソフトのバージョンアップを図り、最適化する予定あり、また、石巻赤十字病院を含む石巻地域における調査研究のための交通費や宿泊費、データベースの整理、管理、解析に必要な補助作業員等の人件費・謝金、学会等における情報収集などの経費が必要であるため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ソフトのバージョンアップにかかる費用、石巻地域におけるカルテ調査や大きく増加すると思われる抽出レセプトデータの整理、管理、解析のために必要な補助作業員等の人件費や謝金、学会等におけるより詳細な情報収集のためにかかる費用に支弁する予定である。
|