研究課題/領域番号 |
15K15489
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小暮 公孝 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (20125850)
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研究分担者 |
柴田 宏 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (20235584)
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有茎分節腸管 / 肝組織片移植 / 膵組織片移植 / 膵島細胞移植 / 体内型補助肝・膵臓 / 糖尿病 / 膵移植 / 肝移植 |
研究実績の概要 |
(研究目的)本研究はGuputaらの開発した肝組織片充填有茎腸管グラフト内に膵組織あるいは膵島細胞を共充填し体内型補助肝・膵臓の作成を目指す。グラフト内に充填された肝組織は急速な増殖を示す。この大きな肝組織の再生環境下に膵組織、膵島細胞を置くことでこれらの再生と増殖が賦活されることを期待して体内型人工肝、膵像の作成を目指す。 (研究方法)今年度はWistar ratを用い、肝左葉切除後、空腸の分節腸管グラフトを作成し、粘膜を削除した後、これに切除した肝をミンチしたものをミンチした膵組織と混合したのちグラフト内に充填し、このグラフトを部分肝切後の肝離断端に逢着した。 (結果)肝組織片と共充填したミンチ膵組織は6週間後でも遺残肝組織の間や肝組織の壊死した後の遺残物の中に生着し増殖していた。これらの細胞は小さい複数の核を含む大きな細胞集塊を形成し、又、多数の細顆粒を含む細胞集塊を形成して共充填した遺残肝組織の間に浸潤し、融合して膵組織類似の組織構築を形成していた。但し、これらの組織では好塩基性を有する腺房細胞の生着を思わせる部分は小さかった。 (結語)有茎腸管グラフト内肝組織片との共充填によりミンチ膵組織が6週間後でもグラフト内に生着し膵組織類似の組織構築が維持されることが確認され、体内型補助肝・膵臓作成への展望が示された。今後、インスリン染色等により膵島細胞の遺残の同定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腸管グラフト内の充填肝組織は急速に増殖、増大する。この肝組織片の大きな増殖環境下で予想される様々な増殖因子の影響で共充填したミンチ膵組織も壊死することなく増殖し生着することが期待される。結果として、肝組織片と共充填した膵組織が増殖、生着していることが確認された。やや、遅れている理由として単離した膵島細胞と肝組織片との共充填が未施行であること、VEGFとうの増殖因子を加えた実験が未施行であることがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
さらにグラフト内の充填肝・膵組織片が大きく増殖するためには 1.VEGFとうの脈管形成に預かる因子を加えて検討する。2.腸管グラフトの血流増進を図る方策を工夫する(Double feeder、大網共充填、など)。3.血管内皮細胞の共充填などを行う。4.膵島細胞を単離してグラフト内に肝組織片と共充填を行う。5.膵島細胞の存在の証明としてインスリン染色等で膵島細胞の状態を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の研究課題である「有茎腸管グラフト内肝組織片・膵島細胞共充填による体内型補助肝・膵臓の作成」を遂行する前の研究課題である「有茎腸管グラフト内肝組織片・肝幹細胞共充填による体内型補助肝臓の作成」の研究の途中で本学の動物実験施設の改修工事が平成25年9月から平成26年9月まで続き、この間、動物実験を行うことができなかった。そのため、計画を変更し、平成26年10月から「有茎腸管グラフト内肝組織片・肝幹細胞共充填による体内型補助肝臓の作成」の実験を再開したが、同時に「有茎腸管グラフト内肝組織片・膵島細胞共充填による体内型補助肝・膵臓の作成」の実験も進めたため「やや遅れている」状況になってしまった。そのため十分な症例数に達しなかったことや未実験が生じ、研究経費の未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、未使用額は1.VEGFとうの脈管形成に預かる増殖因子を加えて検討する、2.腸管グラフトの血流増進を図る方策を工夫する(Double feeder作成、大網共充填、など)、3.血管内皮細胞の共充填などを行う、4.膵島細胞を単離してグラフト内に肝組織片と共充填を行う、5.膵島細胞の存在の証明としてインスリン染色等で膵島細胞の状態を確認する、とうの実験の過程で必要になる増殖因子の購入、膵島単離のための薬品の購入、免疫染色のための薬品の購入とうに充当することにしたい。
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