研究課題/領域番号 |
15K15490
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 潤一郎 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (50647526)
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研究分担者 |
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (20376445)
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00376443)
須並 英二 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (70345205)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / リンパ行性転移 |
研究実績の概要 |
リンパ節転移は手術で安全に切除できるのであれば切除されるべきである。しかし、主要な動脈の周囲を取り囲むように大きな腫瘤を形成している場合や、大動脈周囲に無数に転移リンパ節が存在するなど、リンパ節転移のサイズ・数・転移部位から手術適応とならないことがある。腹腔内の癌であれば、リンパ行性転移の最終的な行き先は胸管となる。したがって胸管を逆行させて抗癌剤を投与すれば、各々の転移リンパ節に抗癌剤が高濃度に集積し、高い抗癌作用を発揮することが期待される。本研究の目的は、全く新しい概念である、「リンパ管逆行性抗癌剤投与」の理論的根拠を胸管にカニュレーションしたラットモデルを用い明らかにすることである。 リンパシステムを利用し、リンパ管を逆行させて抗癌剤を投与することにより、全身投与と比較し飛躍的に高濃度の抗癌剤を、手術では切除困難な部位のリンパ節に直接デリバリーすることが可能となるが、これを試みる先行研究はなく、この点に本研究の斬新性および重要性がある。 平成27年度の研究計画に沿い、まずラット胸管カニュレーションモデルの作成を開始した。しかし、ラットの胸管は予想以上に細く、安定したカニュレーションの挿入および留置が困難であったため、カニュレーションモデルの構築が今年度はできていない。このため、当初今年度に予定していた胸管カニュレーション部位からの蛍光色素や薬物の注入を行うことができなかった。今後の課題としては、動物モデルとしてはより大型動物を用いて行う必要があると考えられた。次年度では動物モデルに用いる動物種の変更を含め、研究を引き続き遂行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、ラット胸管カニュレーションモデルを用いて胸管より薬物、あるいは蛍光色素を融解させた生理食塩水を注入し、各リンパ節への分布を観察する予定であったが、ラット胸管カニュレーションモデルの安定した作成が困難である。薬物動態を観察する研究を実施するためには、より安定したカニュレーションモデルの作成が必要であり、進捗状況としてはやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
ラットの胸管は細く同定困難であり、またシリコンチューブを挿入することが困難であるため安定したカニュレーションモデルを作成することが困難である。より大型で、胸管を含めたリンパ管が明瞭に観察され、カニュレーションも安定して可能と思われるより大型の動物種(ミニブタ等)を使用する動物モデルに変更して研究を引き続き実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットカニュレーションモデルでは安定した実験結果が得られないと判断され、より大型のミニブタ等を使用するモデルへの変更が考えられた。このため、当初行う予定であった蛍光色素や薬物を胸管より逆行性に投与する実験を施行しなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
より大型の動物種であるミニブタ等を実験に用いる必要があり、ラットに比較して実験の購入費用が多く必要となったため、次年度に繰り越して使用することとした。
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