研究課題
本研究では膵癌治療のターゲットとなるmicro RNAを同定し、人工ウイルスを用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)と組み合わせた新規膵癌治療を開発することを目的とする。膵癌肝転移に関わるmicroRNAとしてmiRNA5100を同定、さらにその標的分子としてpodocalyxin (PODXL)を同定した。膵癌マウスモデルにおいて、それら分子の発現を抑制する人工ウイルスの効果を評価するために、ヒト膵癌組織から3D培養技術で樹立した膵癌オルガノイドをマウスに同所移植する、Patient derived Xenograft(PDX)モデルを作製した。人工ウイルスの組織移行性を評価するために、50nmの蛍光マイクロビーズをマウス尾静脈から投与し、IVIS、蛍光実体顕微鏡を用いた観察を行ったが、検出困難であり、評価法について検討中である。癌細胞特異的な薬剤送達を可能にするために必要な、膵癌細胞表面マーカーの検討において、CD110は正常膵組織の膵管上皮には発現せず、膵癌原発巣と肝転移巣で発現していることがわかった。さらに膵癌肝高転移株ではCD110の高発現を認め、CD110発現の抑制によって膵癌細胞の遊走・浸潤能が有意に低下し、免疫組織化学染色で、膵癌切除症例において、CD110発現陽性群は陰性群よりも予後不良であった。また、肝転移との相関性が認められ、CD110発現陽性群がより早く肝転移巣を形成することが分かった。DDSの標的となる膵癌細胞特異的表面マーカーとしてCD110が標的となりうる可能性を示した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Int J Oncol
巻: 50 ページ: 457-467
10.3892/ijo.2016.3829.
Oncotarget
巻: 8 ページ: 18280-18295
10.18632/oncotarget.15430.