研究課題/領域番号 |
15K15499
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
富川 盛雅 九州大学, 大学病院, 特任准教授 (60325454)
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研究分担者 |
村田 正治 九州大学, レドックスナビ研究拠点, 准教授 (30304744)
赤星 朋比古 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20336019)
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノバイオマテリアル / ナノ材料 / 肝硬変 / DDS |
研究実績の概要 |
本研究ではHSP16.5が自己組織化によって形成するナノ構造体に着目し、その機能化を目的とする。この構造体は内孔(径7nm)を有する球状構造(24量体、外径12nm)を構築することが知られている。我々の予備実験において、マウスに投与したこのナノカプセルは急性毒性を示さず、特定の臓器や組織に対する指向性も確認されなかった。またX線結晶構造解析の結果、このタンパク質のC末端はカプセルの外表面に露出していることが明らかとなっており、この領域に標的細胞に対するアンテナ分子を組み込むことが可能である。 本年度は肝星細胞の主要な機能であるビタミンAの取り込み・貯蔵機能に着目し、その標的分子であるレチノイン酸誘導体をナノカプセル表面に提示することを試みた。疎水性の高いレチノイン酸誘導体を効果的にカプセル表面に修飾させるため、親水性の高いポリエチレングリコール(PEG)リンカーを介して固定化することに成功した。なお、ナノカプセルは大腸菌を使って大量発現し、クロマトグラフィーによって精製する。動的光散乱法(DLC)と透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって、組み換えHSP16.5が期待どおりナノスケールの球状構造体を形成していることも確認した。得られたレチノイン酸修飾型ナノカプセルの特異性をin vitroで評価したところ、期待どおり、活性化した肝星細胞に対して特異的に結合することが確認できた。さらに肝硬変モデルマウスに血中投与したところ、類洞周辺の肝星細胞に対して高い集積性を示した。これらの結果は、ナノカプセル表面に修飾したレチノイン酸誘導体が星細胞表面のビタミンA受容体に対して特異的に結合することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って研究を遂行しており、期待どおりの成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を着実に実施すると共に、リンs尿的により価値のある成果をめざす。
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