本研究は、急性心筋障害後における心筋組織内の液性因子や細胞外基質分子の経時的変化を調べ、内因性心筋再生に関わる可能性のある因子を網羅的にScreeningした。その結果、心筋梗塞の中心と境界領域以外に、遠隔健常心筋領域にも多くのサイトカイン/ケモカインおよび細胞外マトリックス/接着分子などの関連遺伝子の発現変化が認められた。しかし、心筋再生に盛んな梗塞と正常心筋の境界領域には、Interleukinなどの炎症性サイトカインや細胞外マトリックス関連タンパク酵素の発現変化が梗塞後の経過と共に徐々に減少していたことが判明した。これらの因子は内因性心筋再生を制御していると思われる。
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