研究課題
(乳麋槽および胸管の内圧測定)細径カテーテルの先端に圧センサーを取り付ける試みであったが、既存のセンサーの小型化は容易ではなく、直接的な測定を断念した。細径カテーテルを中空として、手元操作部での圧から先端の圧を推測する方法へ転換することとした。現在も方法論を検討中である。(胸管および乳麋槽におけるリンパ逆流と弁機能の評価)静脈角合流部から胸管内への逆行性カテーテル挿入は弁構造の間を通過できる極細径のガイドワイヤーを要する。ブタにおいては鼠径リンパ節の中枢側からの穿刺にて順行性であれば胸管までのカテーテルの挿入は可能である。先端にコイル状に金属を巻き、かつ、インドシアニングリーンの色素粉末を加工したものを素材に練り込むことで、比較的浅い部位であれば超音波検査機および近赤外蛍光法により先端部の位置が確認できるカテーテルを作成することができた。本カテーテルは先端が非常に細くしなやかで追従性に優れ、これまでのカテーテルに比し蛇行した乳麋槽を上行するのが容易だった。しかし、圧測定や逆流評価を行う位置まで上行しうる確率は、未だ充分とは言えず、先端の形状や柔軟性、恒常性に更なる工夫を要すると考えられた。以上より、現段階では臨床応用できるレベルには満たず、今後も操作性や安全性に改善を要するが、ブタを用いた動物実験での使用には耐えうるリンパ管挿入用の先端マーカーつき細径カテーテルを作成し、基礎データの蓄積に着手できた。