研究課題/領域番号 |
15K15515
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 淳 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90188954)
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研究分担者 |
長山 和弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00647935)
似鳥 純一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40424486)
村川 知弘 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (50359626)
安樂 真樹 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70598557)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人口酸素運搬体 / 肺移植 / 臓器保存 |
研究実績の概要 |
本研究では従来の臓器保存液に加え、高い酸素溶解度を持つperfluorocarbon(PFC)もしくは人口酸素運搬体を併用することで、虚血・低酸素による組織障害、特に温虚血時間帯の障害を軽減する新たな臓器保護方法の検討を目的とする。当研究室ではラット肺移植モデルの確立はすでに済ませており、本モデルでの検討を開始している。ラットグラフト肺の血液含量はごく少量(1ml-2ml)であり、臓器保存液、肺潅流液に人工酸素運搬体を溶解して使用するため、その至適使用条件の検討が中心となった。条件検討を行ったのは以下の内容についてである。 ・潅流液:臓器保存液の潅流量(ラット片肺の場合)の実測、分時当たりに必要な潅流量計測、等を決定した。 ・ラット肺組織移行性:人工酸素運搬体のラット肺組織中での酸素移行の効率、適切な濃度(粘度が上昇するため)についても最適量に関して検討を進めた。 ・肺潅流:潅流に関しては潅流圧、流速等の計測が必要であり、現在パイロット実験を行っている。 温度:潅流の際の温度設定も、組織障害の程度に関わる。つまり常温では組織虚血障害は進みやすい、低温では虚血からの保護はうまくいく一方、人工酸素運搬体の酸素リリースについてその効果に与える影響がある。以上より、低温潅流、常温潅流での虚血障害の程度について検討を開始している。 以上より、本年度は当ラットモデルでの条件設定でのデータ解析、検討を進めた。引き続き至適条件の設定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットを用いたドナー臓器(肺)の潅流法を確立し、肺のフラッシュに必要な潅流液量の定量行った。またラット肺移植のモデルを確立済だが、さらにこのモデルで使用するドナー肺グラフトの保存方法(臓器保存液に必要とする人口酸素運搬体、PFCの濃度)について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はラットドナーグラフトを用いてコントロール群(臓器保存液のみで保存する群)と、人工酸素運搬体、PFC付加群の組織障害の程度を比較する。 さらに各群のドナー肺グラフトを移植し、術後ガス交換能、各種炎症性・抗炎症性サイトカインの定量、組織学的肺組織障害の程度(スコア化)の比較を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット肺を潅流するのに必要な臓器保存液の正確な量と、その中に添加する人工酸素運搬体の濃度、組織障害に対する酸素化効果の定量等の条件最適化に予定より時間を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
コントロール群との比較に際して、肺障害の炎症性・抗炎症性サイトカイン・ケモカインのPCRによる測定、比較検討を行う。またラット肺移植を行い、移植後のガス交換能等の組織障害が引き起こす酸素化障害を比較検討する。上記遂行するために予算を使用する。
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