研究実績の概要 |
平成27年度は、① OKD-lucマウスを準備した上で、8-9週齢オスのOKD-lucマウスに45分間一過性中大脳動脈閉塞術を行い、その3,6,12,24時間後,3,7日後にin vivoイメージングを行い、脳内におけるlucの発光の定量を行った。 その結果、Lucの発現は虚血後12時間後から安定して発現が認められるようになり、24時間後が発現のピークとなることが明らかになった。 平成28年度は、in vivoイメージングで評価を行ったOKD-lucマウスの45分間一過性中大脳動脈閉塞モデルの脳切片を作成し、免疫組織学的手法によりLuc, NRF2, Keap1の経時的な蛋白レベルでの発現の評価を行った。その結果、in vivo イメージングで検出したLucの発現パターンと、脳内のNRF2の蛋白発現パターンが相関していることが明らかになった。またこのLucの発現強度と脳梗塞体積も相関することが確認できた。これらの結果から、今回行ったin vivo イメージングは生体の脳内酸化ストレスを評価できていると考えられた。さらに2重免疫染色を行うことでNRF2が主にニューロンと、一部オリゴデンドロサイトとペリサイトに発現していることを明らかにした。 以上の結果を、英語論文にまとめJ Neurosci Res誌に2017年に報告した(論文1)。 今回の研究により酸化ストレスをin vivoイメージングで評価する基礎的な実験基盤が確立された。今後慢性脳虚血モデルに対してもこのin vivoイメージングモデルが応用した酸化ストレス動態の詳細な検討を行っていく予定である。
論文1: Nakano Y, Yamashita T, Li Q, Sato K, Ohta Y, Morihara R, Hishikawa N, Abe K. Time-dependent change of in vivo optical imaging of oxidative stress in a mouse stroke model.
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