研究課題/領域番号 |
15K15529
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
溝口 昌弘 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50380621)
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研究分担者 |
佐山 徹郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30346788)
吉本 幸司 九州大学, 大学病院, 講師 (70444784)
天野 敏之 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70448413)
橋口 公章 九州大学, 大学病院, 講師 (80448422)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | liquid biopsy / cell free DNA / グリオーマ / microRNA / 脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
2015年度は、九州大学及び関連施設にて新規に摘出術をうけた57例のグリオーマ症例の遺伝子解析を施行した。同症例より、術前血液サンプル、術中髄液サンプルを採取し、保管した。分子病理学的背景を加味し、5例の血液と3例の髄液より、エクソソームを分離し、分泌型miRNAを抽出し、東レ3D-Gene miRNA Olig chipを用いた網羅的発現解析を行った。正常血液と比較し発現が上昇しており、髄液中でもその上昇が確認できるmiRNA (miR-4530, -4294, -4534)を同定した。蓄積した症例に対し、TaqMan法を用いた再評価を行う為、TaqManプローブを作成した。 さらに同血液サンプルからのcell free DNA(cfDNA)の抽出、解析に着手した。血漿、血清を用い、2つの抽出キット(Qiagen社、Promega社)を使用し、比較検討した。より高いDNA濃度に濃縮できるPromega社キットを用い、純度の高い血漿を用いて解析を進めた。グリオーマ患者血液から採取した血中cfDNA量は、他のがん患者と比較し少なく、健常人と同程度であった。DNA量が微量であり、通常のPCRを用いた解析法では解析困難であり、IDH1野生型と変異型に特異的プローブを用いたTaqMan法を用いた解析を導入した。条件設定によりIDH1変異型6例中2例で血漿中cfDNA解析にてIDH1変異を同定することができた。IDH1野生型では変異型は同定できず特異的な結果を得られたが、その感度は低かった。さらに精度をあげた解析を行う為、デジタルPCRを導入し、その条件設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血中バイオマーカーとして、miRNAとcfDNAに着目した研究を進めることができた。グリオーマ症例の血液サンプルも蓄積されており、解析法が確立されれば標的となるmiRNAとcfDNAの解析を進め得る状況をつくることができた。微量核酸の解析であり、その解析条件設定に検討を要した。最終的にはデジタルPCRの導入を決定した。
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今後の研究の推進方策 |
miRNA解析に関しては、腫瘍の悪性度、組織型、遺伝子型の差による、miRNAの相関を腫瘍で確認するとともに、血液中に反映されるmiRNAの推移を検討する。cfDNAに関しては、グリオーマ患者血液中のcfDNA量は低く、さらに精度をあげるため、デジタルPCRを導入し、今後はその解析に使用する。さらに標的とする遺伝子も増やし、腫瘍の遺伝子型を反映することが可能か検討を進める。さらに臨床経過中の血液を対象に解析を進め、リアルタイムのモニタリングの確立に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
手術症例数に依存し、サンプルより核酸抽出を行っており、本年度は、少数の症例より核酸抽出法、遺伝子解析法を検討した。最終的に解析法を確立し、蓄積したサンプル解析を開始する予定であり、次年度使用を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
新たなcfDNA解析法として、デジタルPCR導入を開始しており、その試薬に使用する。さらに蓄積したサンプルの解析に次年度に使用を予定している。。
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