研究課題
変形性関節症は高齢者の健康寿命を脅かす代表的な運動器変性疾患であるが、いまだに本質的な治療法は存在しない。10年前にマウス変形性膝関節症モデルが開発され、軟骨変性の分子メカニズムは飛躍的に解明されてきたが、関節軟骨の摩耗などが組織学的に評価されるばかりで、変形性関節症の最も重要な症状である痛みについてはほとんど評価されて来なかった。本研究は、マウスでのモーションキャプチャーを用いた高速度3次元歩行解析に多大な実績のある研究室と共同研究チームを立ち上げ、マウス変形性関節症モデルをベースに、詳細な歩行解析によって変形性膝関節症に伴う痛みをより正確に評価する方法を確立することを目指す。まずマウス変形性関節症モデルを作成し、時系列でモーションキャプチャーシステムによる歩行解析を行った。腸骨稜、大転子、足関節、中足骨先端、足趾先端にマーカーを設置し、強制歩行の速度としては8、16,24 m/minを施行した。8 m/minでは歩行動作が安定せず、また24 m/minでは脱落するマウスが多かったが、16 m/minで最も歩行動作が安定したことから、この速度で解析を進めた。変形性関節症初期では目立ったパラメーターの変化はみられなかったが、末期では大転子の高位が低くなり、膝の伸展が有意に制限されることが分かった。股関節、足関節には有意な変化は認めなかった。今後は鎮痛剤などを使用することによって、痛みの影響を解析していく計画である。
2: おおむね順調に進展している
主たる実験動物をラットからマウスに変更したが、変形性関節症の進行とともに変化するパラメーターを見出すことに成功した。
鎮痛剤や炎症惹起薬を用いることでパラメーターがどのように変化するかを検証するとともに、一定量の力学不可時の膝の可動域を調べて、関節拘縮の程度も検証する。また軟骨誘導性化合物TD-19896などの投与によってパラメーターの変化を検証する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Sci Rep
巻: 6 ページ: 18743
10.1038/srep18743
Osteoarthritis Cartilage.
巻: 24 ページ: 688-97
10.1016/j.joca.2015.11.008
Biomed Res
巻: 36 ページ: 179-86
10.2220/biomedres.36.179