研究課題/領域番号 |
15K15538
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
古賀 貴子 昭和大学, 歯学部, 講師 (90451905)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 骨粗しょう症 / 免疫 |
研究実績の概要 |
IgG免疫グロブリンが骨吸収の原因細胞である破骨細胞の分化や機能を直接的に制御するということを分子レベルで明らかにすることに努めた。マウスには4種類のIgGの受容体、FcgRI、FcgRIIB、FcgRIII、FcgRIVが存在する。このうちFcgRIIBは他の3つの受容体が活性化型シグナルを伝達するのに対し、抑制性のシグナルを伝達する。FcgRIIB遺伝子を欠損するマウスでは自己免疫応答が亢進しており、加齢に伴って自己抗体産生が増加して自己免疫疾患を自然発症する。そこで過剰な自己免疫応答が骨量低下をもたらすか否かについて明らかにした結果、FcgRIIB欠損マウスは、加齢に伴うIgG産生の亢進し、同時に骨量減少を呈した。in vitroおよびin vivoの詳細な解析の結果、FcgRIIB欠損マウスの血清中のIgG免疫複合体が破骨細胞分化を促進させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は事前研究により成果に期待ができる研究を含んでおり、2年目に実施する高ガンマグロブリン血漿によって生じる骨量減少性疾患を治療するモデルマウスの作成に力点を置いている。そのため、平成27年度に予定していた分子メカニズムの解明は確実に年度内に終了させることを前提としており、計画はその通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
骨粗しょう症モデルや自己免疫疾患モデルマウスだけでなく、高ガンマグロブリン血漿を呈するマウスを作製し、その骨組織を解析することで、IgG免疫複合体が骨量減少性疾患のバイオマーカーとなる可能性について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は事前研究により成果に期待ができる研究を含んでおり、27年度はin vitroの実験を迅速に進めることに留意し、昨年度の成果による学会発表にかかる旅費や人件費などにかかる支出はなかった。物品費についても、本年度のマウスを用いた実験の事前実験などにとどめることとしたため、予定額よりも少ない使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、マウスを用いた実験などを多く予定し、それにかかる物品費やたんぱく質発現の網羅解析の委託費用などに使用する。また研究で得た成果を学会などで発表するための旅費を含む。
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