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2015 年度 実施状況報告書

骨細胞による新たな骨芽細胞制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K15540
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

篠原 正浩  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (60345733)

研究分担者 中浜 健一  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60281515)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード骨細胞 / PI3K / 骨芽細胞 / 骨代謝
研究実績の概要

骨の恒常性は、骨形成を担う骨芽細胞、骨吸収を担う破骨細胞、その両細胞を制御する骨細胞の働きによって維持されている。骨細胞特異的IA型PI3Kノックアウトマウスの解析から、骨細胞による新たな骨芽細胞の制御メカニズムの存在が示唆されたため、この新たなメカニズムを解明することを本研究の目的とする。
骨細胞特異的ノックアウトマウス作成にあたってはDMP-1遺伝子のプロモーター制御下でCreを発現するマウスを用いたが、DMP-1は骨細胞だけではなく、骨芽細胞分化の後期でも発現する可能性があり、骨細胞特異的IA型PI3Kノックアウトマウスにおける骨芽細胞形成不全とそれに伴う骨形成異常は、分化後期の骨芽細胞でPI3K遺伝子が欠損してしまった可能性を否定する必要がある。そのため、in vitroの骨芽細胞分化系で培養したノックアウトマウス由来の骨芽細胞における遺伝子発現について網羅的に解析したところ、骨芽細胞の分化や機能に重要な遺伝子や骨芽細胞による石灰化に異常は認められなかった。この結果は、骨細胞特異的IA型PI3Kノックアウトマウスにおける骨形成異常が、骨芽細胞の細胞自律的な異常ではなく、骨細胞による骨芽細胞分化の制御に異常をきたしていることを強く示している。
骨細胞による骨芽細胞制御メカニズムの一つにGap junctionによる制御が知られている。骨細胞特異的IA型PI3KノックアウトマウスにおけるGap junctionの形成を評価するため、骨細胞特異的IA型PI3KノックアウトマウスとEGFPを発現するレポーターマウスとを交配したマウスを作成、共焦点顕微鏡による骨細胞―骨芽細胞間のGap junctionの形態学的解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

レポーター遺伝子を組み込んだ骨細胞特異的ノックアウトマウスの作成も終了し、Gap junctionの形成に関する評価も予定通り行われている。今後は、サンプル数を増やすことで最終的な結論を導く。分泌因子を介した骨細胞による骨芽細胞の制御に関するメカニズムについては、当初の解析予定分子が機能的に意義のある分子ではないことを明らかにし、かつ網羅的な遺伝子発現解析から新たな候補遺伝子の探索に成功している。

今後の研究の推進方策

当初の予定通りに研究を進めていく。今後、さらにノックアウトマウスの解析数が増えることで、より強固な証拠が期待されるほか、幅広い解析手段の選択につながることから、現状よりも進行を早めてノックアウトマウスを用いた解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定よりノックアウトマウスの作成に時間がかかったため、その分マウス管理維持費が少なかった。その分次年度は飼育数が増えることが予想されるため、繰り越し分を充当する。また、それに伴ってGap junctionに関する解析開始が遅れたため、今年度予定していた解析が若干後ろにずれることとなったため、Gap junction解析に要する研究費を繰り越すに至った。

次年度使用額の使用計画

繰り越し分は、当初の予定通りマウスの飼育管理費並びにGap junctionの解析費用に充てる。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] Hypergravity provokes a temporary reduction in CD4+CD8+ thymocyte number and a persistent decrease in medullary thymic epithelial cell frequency in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Tateishi R, Akiyama N, Miyauchi M, Yoshinaga R, Sasanuma H, Kudo T, Shimbo M, Shinohara M, Obata K, Inoue J, Shirakawa M, Shiba D, Asahara H, Yoshida N, Takahashi S, Morita H, Akiyama T
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 10 ページ: e0141650

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0141650

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Phosphoproteomic analysis of kinase-deficient mice reveals multiple TAK1 targets in osteoclast differentiation.2015

    • 著者名/発表者名
      Sumiya E, Negishi-Koga T, Nagai Y, Suematsu A, Suda T, Shinohara M, Sato K, Sanjo H, Akira S, Takayanagi H
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 463 ページ: 1284-1290

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.06.105

    • 査読あり
  • [学会発表] ROLES OF TRANSCRIPTIONAL FACTOR MOHAWK IN PERIODONTAL LIGAMENT2016

    • 著者名/発表者名
      Naoki Koda, Masahiro Shinohara, Shizuko Ichinose, Yoshiaki Ito, Ryo Nakamichi, Tomohiro Kayama, Keiji Moriyama, Hiroshi Asahara
    • 学会等名
      IBMS Herbert Fleisch Workshop
    • 発表場所
      Brugge (Belgium))
    • 年月日
      2016-02-28 – 2016-03-01
    • 国際学会
  • [学会発表] 歯根膜恒常性維持の新たなメカニズム - 転写因子Mohawk homeobox ( Mkx ) の機能解明2015

    • 著者名/発表者名
      幸田直己、篠原正浩、伊藤義晃、市野瀬志津子、森山啓司、浅原弘嗣
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] Bone marrow derived macrophage cells migrate through osteoblast2015

    • 著者名/発表者名
      松浦毅士、立川敬子、中浜健一
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会・日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 歯根膜恒常性維持の新たなメカニズム - 転写因子Mkxの機能解明2015

    • 著者名/発表者名
      幸田直己、森山啓司、篠原正浩、浅原弘嗣
    • 学会等名
      日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県博多市)
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20
  • [学会発表] ROLES OF TRANSCRIPTIONAL FACTOR MOHAWK IN PERIODONTAL LIGAMENT.2015

    • 著者名/発表者名
      Naoki Koda, Masahiro Shinohara, Ryo Nakamichi, Yoshiaki Ito, Shizuko Ichinose, Keiji Moriyama, Hiroshi Asahara
    • 学会等名
      25th Annual Scientific meeting of the Australian and New Zealand Bone and Mineral Society
    • 発表場所
      Tasmania (Australia)
    • 年月日
      2015-11-01 – 2015-11-04
    • 国際学会
  • [学会発表] 歯根膜における転写因子 Mkx の機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      幸田直己、篠原正浩、市野瀬志津子、森山啓司、浅原弘嗣
    • 学会等名
      日本骨代謝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都新宿区)
    • 年月日
      2015-07-23 – 2015-07-25
  • [学会発表] 歯根膜における転写因子 Mkx の機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      幸田直己、篠原正浩、伊藤義晃、市野瀬志津子、森山啓司、浅原弘嗣
    • 学会等名
      日本骨免疫学会
    • 発表場所
      ホテルブリーズベイマリーナ(沖縄県宮古島市)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [学会発表] 力学的荷重変動による骨代謝恒常性維持の新たなメカニズムの解明2015

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩、工藤崇、新保未来、芝大、白川正輝、森田啓之、高橋智、浅原弘嗣
    • 学会等名
      日本骨免疫学会
    • 発表場所
      ホテルブリーズベイマリーナ(沖縄県宮古島市)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [学会発表] 酸性環境下での骨芽細胞の形質変化について2015

    • 著者名/発表者名
      中浜健一、沖藤明日香、穐山雅子、細道純、小野卓史、森田育男
    • 学会等名
      日本骨免疫学会
    • 発表場所
      ホテルブリーズベイマリーナ(沖縄県宮古島市)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [図書] 免疫複合体はFcRγシグナルを介して骨代謝を制御する」、THE BONE2016

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 「IgG抗体の糖鎖修飾が破骨細胞分化と骨量減少を決定する」、THE BONE2016

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 「次世代の分子ターゲット Btk」、分子リウマチ治療2016

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩、高柳広
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      先端医学社
  • [図書] 「骨免疫学総論」、炎症と免疫2015

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      先端医学社
  • [図書] 「骨ペディア 骨疾患・骨代謝キーワード事典」2015

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2017-01-06  

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