研究課題/領域番号 |
15K15541
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
麻生 義則 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (50345279)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | キサンチンオキシダーゼ / 尿酸代謝 / 高脂肪食 / 変形性膝関節症 |
研究実績の概要 |
変形性関節症(OA)はメタボリックシンドローム(MetS)の一症候として位置づけられる。血中や関節液中の尿酸濃度とOA発生率の相関が認められ、尿酸コホート研究では、関節液中の尿酸濃度とIL-18濃度は正の相関を示し、これらの濃度は膝OAの進行度と正の相関を示す。以上から尿酸代謝とOA発症が関連する可能性が示唆されるが、そのメカニズムは不明である。本研究の目的は、MetSとOAの関連におけるXORの機能を解明することである。生後7週雄C57BL6Jマウスを通常食群、高脂肪食群(HFD群)に分類し、それぞれ半数にXOR阻害剤のフェブキソスタット(FEB)を飲水投与した。飼養開始後3ヵ月後に屠殺し、膝関節の組織解析を行った。膝蓋下脂肪体(IFP)を採取しqPCRにて炎症性サイトカイン、アディポカインの発現を解析した。膝関節ではHFDにより骨棘形成、滑膜増殖、関節軟骨のOA変化は進行したが、FEB投与によってこれらの変化は軽減した。TUNEL染色ではHFD群において陽性細胞が増加したがFEB投与により著しく減少した。IFPにおけるTNF-αの発現はHFD群にて増加したが、FEB投与によって抑制された。血管内皮細胞では活性酸素を介した異常な炎症反応がXORによって惹起されることから、膝関節においてもHFDによって惹起されたIFPの炎症にXOR活性増加が寄与している可能性がある。本研究にてXORがOA制御の新たなターゲットとなる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた実験により、キサンチンオキシダーゼ活性が変形性膝関節症発症において重要な機能を有することが明らかにされた。本研究成果は日本整形外科基礎学会、米国整形外科基礎学会において発表され、論文化された。
|
今後の研究の推進方策 |
変形性膝関節症により人工関節手術を受ける患者から、膝蓋下脂肪体を採取し、キサンチンオキシダーゼ活性を測定し、病歴と比較して患者プロファイルとの相関を検証する。マウスのみならず、ヒトにおけるキサンチンオキシダーゼ活性の重要性を明らかとする。すでに倫理委員会の審査を受け、試験の許可を得ている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度内に消費する予定であったが、少額の誤差が生じた。残額は4万円足らずであり、翌年の消耗品費用に充当する。
|
次年度使用額の使用計画 |
試薬などの消耗品費用として充当する。
|