研究課題
骨のリモデリングの分子機構に関しては未だ不明な点も多く、その解明にあたり、既存の手法ではなく、新しい視点からのアプローチが必要であると考えられている。そこで申請者は近年その生理的意義が注目されている長鎖ノンコーディングRNA(以下長鎖ncRNA)に注目し、骨芽細胞分化における長鎖ncRNAの意義について明らかにすることを目的として研究を行い、以下の結果を得た。BMP2を投与して骨芽細胞に分化誘導したマウス間葉系幹細胞であるST2からRNAを抽出し、次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子発現解析を行い、骨芽細胞分化の過程において発現が大きく変動する長鎖ncRNAを同定した。それら長鎖ncRNAのうち、長鎖ncRNA-Xの発現が骨芽細胞分化に伴い増加し、過剰発現することによって骨芽細胞分化が促進された。そして、ゲノム編集技術を利用した長鎖ncRNA-Xの欠損により、骨芽細胞分化が抑制された。また、マウス生体内では、長鎖ncRNA-Xは骨組織及び精巣において組織特異的に発現していた。最後にゲノム編集技術を用いて長鎖ncRNA-X欠損マウスを作成した。個体は現在F0であり、現在性成熟を待っている段階である。以上の検討により、長鎖ncRNAによる骨芽細胞分化の調節機構が明らかとなった。今後は本研究期間において作成した長鎖ncRNA-X欠損マウスの表現型について詳細に解析を行い、その標的因子、作用機構などを明らかにしていく。
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J Orthop Sci
巻: 40 ページ: 334-339
10.1016/j.jos.2015.08.003.
Spine
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