本研究課題に関する特許が2017年3月24日に成立した(特許番号6112427号;発明人 大橋俊孝、加来田博貴)。 平成28年度は、初年度に行われた関節軟骨X線によるin vivo造影に加え、同技術が将来の関節症モデルマウス研究へ利用されることを考え、マウス関節軟骨変性症モデルの例として、新規関節軟骨変性モデルの作製にとりかかった。軟骨に豊富に発現している細胞外マトリックス遺伝子(A遺伝子)のFloxマウスをRosa26-creERTマウスと交配させ、A gene f/f; Rosa26-creERTを作成した。軟骨に豊富に発現するA遺伝子をコンベンショナルにノックアウトすると骨形成に重篤な異常(早期致死を含む)を生じることが予想されるため、条件的ノックアウトマウスを作製した。Rosa26-creERTは全身の細胞でcre遺伝子を発現させ、タモキシフェンを腹腔内に投与することで、関節軟骨を含むA遺伝子のノックアウトを誘導できる。生後1週より、タモキシフェン投与を開始し、未投与群に比べ、有意に低身長を認めた。関節軟骨異常も認められ、軟骨X線イメージング技術をマウス使用できるかを検証するシステムができた。タモキシフェンの投与時期を変えることにより、このマウスは変形性関節症モデルあるいは軟骨無形成症モデルとなり得る。なお、本モデルマウス研究はミュンヘン大学との海外共同研究により進められている。ミュンヘン大学は、高解像度X線CTによる画像解析技術も有している。今後、in vivoイメージングと従来の病理切片解析との詳細な比較検討を行う予定である。
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