平成29年度はin vitroでラット軟骨細胞に対する低酸素環境下でのmechanical stress応答機構について解析した。 6週齢雄性のwistar系ラットの肩関節、股関節、膝関節から軟骨組織を採取し、軟骨細胞を単離した。単離した軟骨細胞を1型コラーゲンコーティングを施したシリコンチャンバーに播種し2日間培養した。その後定常酸素環境下、低酸素環境下でメニコン社製の自動伸展培養装置ShellPaを用いて間欠的なmechanical stressを加えた。 stressの強度や酸素濃度により遺伝子発現は異なることがわかった。そこには低酸素環境下で発現挙動が変化するHIF-1αが関係している可能性を考慮し、HIF-1αの抑制実験を行った。si-HIF1αを用いて抑制実験を行ったところ、HIF-1αは80%程度抑制可能であったが、変動していた遺伝子(軟骨基質因子や軟骨基質分解酵素など)に顕著な変化は認めなかった。in vitroでの結果とin vivoの結果が合致しなかったことからシリコンチャンバー内での単層培養での結果はin vivoでの関節内を正確に再現できていない可能性が高いと考えた。そのため、3D培養での評価が必要になると考えた。今後再度3D培養で検証を行い、低酸素環境でのメカニカルストレスへの応答について検討する予定である。また、その結果とin vivoでの結果が一致する場合はそのモデルをin vitroモデルとして今後の検討に用いていくこととする予定である。
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