研究課題/領域番号 |
15K15558
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
納富 拓也 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70542249)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光操作 / 骨細胞 |
研究実績の概要 |
老化にともなう骨疾患や骨粗鬆症は1000万人を超えると推定される。この運動器疾患を治療・予防して、Quality of Life (QOL)の維持・向上が重要になってきている。この原因を明らかにして、骨疾患治療を推進するために、いままでの研究成果を基にして骨組織における細胞膜電位とイオンチャネルの役割を検討してきた。私は力学的刺激と骨代謝機構の関係を検討するなかで、骨代謝におけるイオンチャネル・神経伝達物質受容体の重要性を発見して、膜電位が骨代謝を制御するという示唆を得た。そこで、力学的刺激に反応する骨内での代表的細胞である骨細胞に焦点を当てて、光操作による生体内での骨構築を見据えながら、膜電位操作回路による骨細胞の機能制御を試みた。 本年度では、膜電位操作分子を導入した骨細胞において、細胞膜上分子局在と細胞膜電位変動の関係を検討した。その結果、細胞膜電位変動による、標的細胞膜上分子の局在様式変化が認められた。さらに、特定の膜電位変動操作による、タンパク分子輸送の部分制御も併せて観察された。また、ex vivo系において、培養骨組織中の骨細胞に光操作分子を遺伝子導入して、細胞内イオン動態の変動を観察した。細胞内カルシウムイオン濃度は骨組織中においても細胞膜電位変動により大きく変動することが明らかとなった。In vivoでの光照射による骨リモデリング操作について、マウス頭頂骨の骨関連細胞に遺伝子導入をおこない、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨細胞における細胞膜電位の光操作およびその重要性についての検討をすすめている。 具体的には、光操作分子を骨細胞の細胞株(MLO-Y4)に導入して、研究を進めている。光操作分子をを導入したMLO-Y4細胞を用いて、光照射によって、細胞膜電位が変動することを確認するとともに、その細胞機能の制御が可能となってきた。In vivoでの骨構築については、ex vivo系の実験を経て、実験を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
骨細胞の機能操作については、さらなる検討を進める。具体的には、光操作による膜電位制御により、骨細胞と骨芽細胞・破骨細胞とのコミュニケーションがどのように変動するかを調査する。生体内骨構築については、ex vivo系を進めるとともに、in vivoでの動物実験を進めて、骨構築の基礎的データを収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験計画書変更のため、その認可まで時間を要したことと、大学共通施設利用のための準備が遅れたためである。具体的には、動物実験の立ち上げの遅れのために、消耗品費が少なくなったことと、共通施設利用頻度の減少である。実験回数の減少に応じて、人件費・消耗品費の減少が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実施できなかった培養実験・動物実験計画を予定に組み入れて、前年度に計画していた通り、消耗品費(試薬・培養器具・実験動物)にあてる予定である。また、増加予定である実験を速やかに推進するために、実験補助員増員のための短期雇用に充てる。
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