研究課題/領域番号 |
15K15564
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
篠田 健 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (30727243)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 好中球細胞外トラップ / 血栓形成 |
研究実績の概要 |
ラットを用いたNETs投与によるNETs血症モデルの作成及びラット体外循環モデルにおける血栓形成性の検討中である。 ラットを、ペントバルビタール麻酔による深麻酔下に安楽死させ、心室穿刺により、ヘパリン加シリンジに採血し、Histopaque1077を等容量加えて400g×45分間遠心し、上層を廃棄し、下層を6%デキストラン添加0.15M NaClに懸濁する。37℃で20分間インキュベーションした後、270g×20分間遠心し、ペレットに塩化アンモニウム溶液を加えて溶血させ、480g×10分間の遠心により、細胞成分を回収し、HBSS溶液で洗浄した後、270g×10分遠心し、ペレットを1mL HBSS溶液で懸濁し、好中球溶液とする。これに600nM PMAを加え、4時間5%CO2インキュベータ内で静置し、NETs形成を誘導する。この好中球懸濁溶液を一部サンプリングし、細胞外2重鎖DNA量をPico-Green法で測定する。 次にNETsの投与量を細胞外二重鎖DNA量で規定し、3段階の投与量を決定する。SDラットの両側大腿静脈にカニュレーションを行い、小動物用エンドトキシン吸着カラムに対するダミーカラムを用いた体外循環モデルを作成する。また、別なラットの外頚静脈よりNETs形成好中球懸濁溶液を投与し、NETosisモデルを作成する。投与後1時間後、2時間後、4時間後、8時間後に総頸動脈に挿入したカテーテルより採血し、血算、フィブリノーゲン、D-ダイマーおよび血清二重鎖DNA濃度、DNase活性、DNaseI抗原濃度、サイトカイン濃度、エンドトキシン濃度の測定を行い、体外循環回路内の血栓形成に関する所見とともに記録するこのプロトコールについて、Sham群、および三段階のNETosis群について、カラムを用いた体外循環の有無で総計8群を設定し、比較を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
効率の良い好中球の収集の方法について、試行錯誤を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
上記動物実験に加えて、CHDF、補助人工心臓などの体外循環装置装着中の患者における血栓形成におけるNETsの寄与に関する検討を追加、実施する予定である。 東京医科歯科大学医学部附属病院ICUでCHDFまたは補助人工心臓による治療が必要となった患者で、これらの体外循環を開始する直前と、開始24時間後、48時間後、72時間後に採血を行い、クエン酸血漿及び血清を採取する。炎症性サイトカイン・D-dimer・フィブリノーゲン値および抗凝固薬の投与状況について測定・記録を行い、回路内凝固の有無及び予後との相関について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
倫理委員会での手続き等により、臨床研究開始が遅延し、臨床研究に必要となる消耗品の購入を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に繰り越した予算は、動物実験及び臨床研究において必要な消耗品の購入に充てる。
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