研究実績の概要 |
アデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus:AAV)ベクターを用いて、マウスの一次知覚神経の後根神経節(DRG)に外来遺伝子を発現させるため、始めに遺伝子導入効率を検討した。導入効率を検討するためのAAVベクター(AAV5.CMV.TurboRFP.WPRE.rBG)5μl / bodyを脊髄くも膜下腔に投与し、その後、1週間・2週間・3週間後および比較対象として未処置(Naive)のマウスの脊髄およびDRGを採取し、組織学的染色法により検討した。 投与後2週間後のDRGにおいてAAVの感染はピークとみられることが示唆された。また、脊髄後角では投与1週間後に多いようだが、2週間後・3週間後とあまり変化はないように思われた。以上の結果より、使用したAAVベクターの蛍光色素が弱いこと、またはバックグラウンドの可能性が排除できないことから、はっきりとした感染効率の時間が確認できなかった。 次に、バックグラウンドなのか、実際に感染しているのか、感染しているとすれば時期はいつなのかを検討するため、AAVベクターを認識する抗体(Anti-RFP)を使用し、免疫組織化学染色法を1次抗体として使用し染色を行った。 1次抗体の濃度は、1:400, 1:800, 1:1600で検討し、2次抗体は蛍光強度の異なるCy3, Rhodamineを用いて1:1000, 1:2000で検討した。DRGではAAV投与後1週間後のDRGでRFP陽性細胞の数が多いように思われた。しかし、これはanti-RFPなしの染色時では2週間後がピークと思われた結果とはことなった結果となった。また、ネガティブコントロールとして使用したNaiveのDRG切片においても同様に染色した結果、わずかにanti-RFP陽性細胞の染色がみられた。(anti-RFP 1:400, Rhodamin 1:1000)
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