悪性高熱症(MH)は、全身麻酔時の重篤な合併症のひとつで全身麻酔に伴い発熱・筋硬直・不整脈・代謝性アシドーシスが生じる。原因は骨格筋小胞体からのCa2+放出亢進と考えられている。本研究ではMH既往患者のうち特にI型リアノジン受容体遺伝子(RYR1)に変異を有する患者からiPS細胞を作出し、骨格筋への選択的な分化誘導を行った。その結果、一部の疾患株で筋収縮様の変態が確認できた。さらに培養上清の乳酸値も高く細胞の異常代謝が示唆された。また、抗RYR1抗体を用いて免疫染色したところ、顆粒状のシグナルが細胞内に散見された。本研究により、MHの新規細胞モデルを提唱できる可能性を示した。
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