研究課題/領域番号 |
15K15579
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
大山 力 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80282135)
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研究分担者 |
畠山 真吾 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (10400136)
盛 和行 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40266903)
米山 徹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50587649)
古家 琢也 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60321965)
飛澤 悠葵 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70623768)
佐藤 滋 秋田大学, 医学部, 教授 (80187195)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腎移植 / 抗体関連拒絶 / 糖鎖 / 質量解析 |
研究実績の概要 |
近年、わずか10マイクロLの血清を用いてN-結合型糖鎖を濃縮分離する全自動糖鎖前処理装置Sweetblotが開発され、質量分析装置を用いた血清N-結合型糖鎖の発現プロファイリングが可能となった。 抗体関連拒絶(ABMR)に際し免疫グロブリン量に変化が生じることが報告されているが、免疫グロブリンのN-結合型糖鎖の構造変異に関しては検討されていない。本研究では、腎移植後のABMR、T細胞関連拒絶(TMR)イベント前後の血清N-結合型糖鎖の発現プロファイリングを行い、ABMRを予測する新規バイオマーカーの検索を試みた。移植後1日目においてABMR群で他群と比較し、4種のN-結合型糖鎖が有意に減少していた。ROC解析から4種の糖鎖のカットオフ値を決定し、N-glycan Scoreを設定した。 N-glycan ScoreによるABMR診断のROC解析からAUCは、0.82であった。ロジスティック解析からN-glycan Scoreは、既存のリスク因子(DSAやFCXM)と共に、ABMRの説明因子として選択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度において既にABMRに関連する糖鎖を4分子同定できた。さらに、ロジスティック解析からN-glycan Scoreは、既存のリスク因子(DSAやFCXM)と共に、ABMRの説明因子として選択した。 このことは、研究計画を上回る進捗であり、区分(1)と判断する根拠となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、未解析症例の解析を進めるとともに、移植前Day0、移植後D7、D30で候補糖鎖があるか否かに関して検討を加える。さらに、No eventとAny events(TCMR+ABMR)でも(D0, D1, D7, D30)の時点を中心に検討する。以上の検討を終了した後に、候補糖鎖を選択し、候補糖鎖がD0-D30の前後比較でどう変化するのかを検討する予定である。解析対象のサンプルに関しては、他施設のものも提供を受け入れる予定である。さらに、ABMRあるいは、DSAと候補糖鎖の関連についての基礎的検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は腎移植後の拒絶反応を起こした症例がほとんどなかったため、血清サンプルの提出とアッセイが不要であった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、過年度にさかのぼって拒絶反応を起こした症例を検出し、血清サンプルの解析を行う予定である。
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