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2015 年度 実施状況報告書

転写および蛋白質レベルでのアンドロゲンによるp53機能制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K15581
研究機関東京大学

研究代表者

高山 賢一  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50508075)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードp53 / アンドロゲン / 転写制御 / 翻訳後修飾 / 前立腺癌
研究実績の概要

本年度は前立腺癌細胞を用いてPSFを介した転写レベルでのp53抑制メカニズムについてPSF結合や各種ヒストン修飾に関するChIP-seqを用いた解析を行った。まずホルモン療法耐性前立腺癌モデル細胞においてPSFのプロモーター領域への結合、さらにHDAC1の結合、ヒストンの脱アセチル化を確認した。またPSFの結合部位はホルモン療法耐性モデル細胞において結合分布が変化しており、興味深いことに結合部位は以前報告したCTBP1-ASの発現抑制によってその数、分布が変化することからnon-coding RNAを介したエピゲノム制御によりホルモン療法耐性化の過程においてp53の発現抑制がエピゲノムを介したメカニズムで起きていることが考えられた。さらにPSFのRIP-seqを行い結合するnon-coding RNA群を同定した。
さらにアンドロゲン依存的な翻訳後修飾メカニズムの解析のためsiRNAを用いたアンドロゲン応答遺伝子の系統的ノックダウンの実験を行った。まずp53の細胞内局在について検討するためアンドロゲン受容体(AR)のChIP-seqにより同定した直接的な応答遺伝子のなかから、遺伝子の機能について解析を行い細胞内蛋白移動に関わるpathwayに合致した計10個のアンドロゲン応答遺伝子の中でp53の細胞内局在に影響を与える遺伝子があるかを検索した。その結果、2つの遺伝子においてp53の細胞内局在(核局在もしくは細胞質局在)に関連すると思われることが示唆された。その中の一つはp53と結合することが報告されており、今後アンドロゲン依存的な細胞内局在について解析予定である。またp53の局在制御に関わる翻訳後修飾メカニズムを検討するため質量分析を用いた結合因子の同定を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は転写レベルでのp53の制御メカニズムについて解析を行い、ChIP-seqなどの次世代シークエンサー解析によりPSFによるp53の制御メカニズムについて明らかとした。翻訳後修飾については細胞内局在を中心に解析を行いアンドロゲン応答遺伝子によるp53の局在について新たなシグナル経路を同定しており概ね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

今後の研究については質量分析によるp53と結合し得る遺伝子やその結合パートナーによるユビキチン化などの修飾へ関与する因子の同定を目指す。さらにそれらの結合パートナーによる制御がアンドロゲン処理によるp53の機能の変化に関与するかどうか機能解析を通じて確認していく予定である。細胞内局在以外にp53の転写機能を制御し得る因子の同定も同様にsiRNAを用いて検討する。さらに臨床サンプルや動物実験を通してin vivoや臨床での前立腺癌の進展との関わりを解析していく。

次年度使用額が生じた理由

研究当初に平成27年に予定していたChIRP-seqは今後施行予定であり、翻訳後修飾の蛋白質レベルでの実験が先行している。このため平成28年度に次世代シークエンサーを用いた解析を追加で施行予定であり試薬の購入などで費用が必要なため繰り越した。

次年度使用額の使用計画

次世代シークエンサーによるChIRP-seqやRIP-seqを行うために試薬購入費に充てる予定である。

研究成果

(10件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 学会発表 図書

  • [雑誌論文] ABHD2, an androgen target gene, promotes prostate cancer cell proliferation and migration.2016

    • 著者名/発表者名
      Obinata D, Takada S, Takayama K, Urano T, Ito A, Ashikari D, Fujiwara K, Yamada Y, Murata T, Kumagai J, Fujimura T, Ikeda K, Horie-Inoue K, Homma Y, Takahashi S, Inoue S
    • 雑誌名

      Eur J Cancer

      巻: 57 ページ: 39-49

    • DOI
      10.1016/j.ejca.2016.01.002.
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased Expression of Tripartite Motif (TRIM) 47 Is a Negative Prognostic Predictor in Human Prostate Cancer.2016

    • 著者名/発表者名
      Fujimura T, Inoue S, Urano T, Takayama K, Yamada Y, Ikeda K, Obinata D, Ashikari D, Takahashi S, Homma Y
    • 雑誌名

      Clin Genitourin Cancer

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI
      10.1016/j.clgc.2016.01.011
    • 査読あり
  • [雑誌論文] The emerging role of noncoding RNA in prostate cancer progression and its implication on diagnosis and treatment.2016

    • 著者名/発表者名
      Takayama KI, Inoue S
    • 雑誌名

      Brief Funct Genomics

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TET2 repression by androgen hormone regulates global hydroxymethylation status and prostate cancer progression2015

    • 著者名/発表者名
      Takayama K, Misawa A, Suzuki T, Takagi K, Hayashizaki Y, Fujimura T, Homma Y, Takahashi S, Urano T, Inoue S
    • 雑誌名

      Nat Commun

      巻: 6 ページ: 8219

    • DOI
      10.1038/ncomms9219
    • 査読あり / オープンアクセスとしている
  • [雑誌論文] Toremifene, a selective estrogen receptor modulator, significantly improved biochemical recurrence in bone metastatic prostate cancer: a randomized controlled phase II a trial2015

    • 著者名/発表者名
      Fujimura T, Takahashi S, Kume H, Urano T, Takayama K, Yamada Y, Suzuki M, Fukuhara H, Nakagawa T, Inoue S, Homma Y
    • 雑誌名

      BMC Cancer

      巻: 15 ページ: 836

    • DOI
      10.1186/s12885-015-1871-z
    • 査読あり / オープンアクセスとしている
  • [学会発表] OCT1 coordinated global androgen receptor signaling for prostate cancer progression.2015

    • 著者名/発表者名
      Takayama K, Obinata D, Takahashi S, Inoue S
    • 学会等名
      第74回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [学会発表] [学術奨励賞(基礎部門)] Androgen-responsive long noncoding RNA CTBP1-AS promotes prostate cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Takayama K, Horie-Inoue K, Katayama S, Suzuki T, Tsutsumi S, Ikeda K, Urano T, Fujimura T, Takagi K, Takahashi S, Homma Y, Ouchi Y, Aburatani H, Hayashizaki Y, Inoue S
    • 学会等名
      日本アンドロロジー学会第34回学術大会
    • 発表場所
      福岡大学病院(福岡県・福岡市)
    • 年月日
      2015-06-26 – 2015-06-27
    • 招待講演
  • [学会発表] ChIP-sequence法を用いたゲノムワイドでのアンドロゲン受容体転写制御機構の解析2015

    • 著者名/発表者名
      高山賢一、大内尉義、井上聡
    • 学会等名
      第57回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      横浜国際会議場(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2015-06-12 – 2015-06-14
  • [学会発表] 新規アンドロゲン応答遺伝子G3BP2を介した前立腺癌における治療抵抗性獲得機序の解明2015

    • 著者名/発表者名
      芦苅大作、高山賢一、浦野友彦、大日方大亮、井上聡、高橋悟
    • 学会等名
      第103回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県・金沢市)
    • 年月日
      2015-04-18 – 2015-04-21
  • [図書] Long noncoding RNAs2015

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Takayama, Satoshi Inoue
    • 総ページ数
      257(190-210)
    • 出版者
      Springer Japan

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公開日: 2017-01-06  

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