研究課題
前立腺癌におけるアンドロゲン依存的なp53の新たな翻訳後修飾について解析を行った。新たなアンドロゲン受容体(AR)応答遺伝子G3BP2が前立腺癌細胞におけるp53の細胞内局在を制御することをsiRNAによるスクリーニングにより同定した。次に質量分析器を用いてG3BP2の結合タンパク質の同定を行った。その結果、SUMO E3リガーゼであるRanBP2および乳がんの転移で重要なRNA結合タンパク質 TRIM25を新たな結合パートナーとして同定した。RanBP2はTRIM25を介してp53/G3BP2と複合体を形成しp53のスモ化を通して核外への輸送を促進することを見出した。これによりTRIM25/G3BP2はp53のシグナルを抑制し、抗がん剤によるアポトーシスへの耐性や細胞増殖、遊走能の亢進を示すことを見出した。さらにG3BP2と結合する脱ユビキチン化酵素であるUSP10はG3BP2と結合することでG3BP2の蛋白レベルでの発現を正に制御すること、その機序としてポリユビキチン化を抑制することを見出した。G3BP2の安定化はp53シグナルの抑制につながりUSP10はp53のシグナル抑制にも作用する新たな機序を見出した。また併せてUSP10は前立腺癌における予後不良因子であることも新たに見出した。最終年度においては動物実験も行いin vivoでの腫瘍増殖をTRIM25の発現抑制により抑えることを見出した。その際にp53シグナルの亢進、アポトーシスマーカーの亢進を観察した。臨床サンプルの解析では核外でのp53の発現とTRIM25, USP10発現との相関を見出した。以上、p53の新たな制御メカニズムとしてSUMO化を介した細胞内局在の変化のシステムを提唱しRanBP2/G3BP2/TRIM25による複合体形成およびUSP10の新たな役割を見出した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Oncogene
巻: 37 ページ: 2165~2180
10.1038/s41388-017-0095-x
Molecular Cancer Research
巻: in press ページ: in press
10.1158/1541-7786.MCR-17-0471
Cancers
巻: 10 ページ: 29~29
10.3390/cancers10020029
Cancer letter
巻: 418 ページ: 159~166
doi: 10.1016/j.canlet.2018.01.012
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 114 ページ: 10461~10466
10.1073/pnas.1706076114
Endocrine Journal
巻: 64 ページ: 933~946
10.1507/endocrj.EJ17-0328
Cancer Science
巻: 108 ページ: 2107~2114
10.1111/cas.13352
巻: 9 ページ: 102~102
10.3390/cancers9080102
巻: 108 ページ: 2011~2021
10.1111/cas.13339
巻: 36 ページ: 6272~6281
10.1038/onc.2017.225
巻: 108 ページ: 1386~1393
10.1111/cas.13269
巻: 9 ページ: 22~22
10.3390/cancers9030022
巻: 108 ページ: 373~379
10.1111/cas.13151