研究課題
札幌医科大学および関連病院にて、診断・治療を受けた尿路上皮がん150症例から、尿280検体を採取した。外科的治療後のフォローアップ期間を通して複数回の尿検体採取を行い、尿路上皮がん再発の有無などの臨床情報を蓄積しつつある。またこれまで採取した尿検体よりゲノムDNAの抽出を完了した。尿路上皮がんの新たな尿中メチル化DNAマーカーを探索するため、膀胱がん症例より採取した尿検体6例を対象に、Infinium HumanMethylation450 BeadChipアッセイを行った。またdigital PCR(Bio-Rad QZ200 Droplet Digital PCRシステム)を用いたDNAメチル化の検出テストを行った。本年度はまずmiR-9、miR-124、miR-137など、我々がこれまで同定した膀胱がんメチル化DNAマーカーを用いて、digital PCRによるMethyLightアッセイ系を構築した。
2: おおむね順調に進展している
尿路上皮がん症例からの尿検体および、膀胱がん手術後のフォローアップ期間中の尿検体の採取、DNA抽出、臨床情報の収集を順調に行うことができた。またdigital PCRによるDNAメチル化検出系の構築を予定通り行った。
症例からの尿検体採取および臨床情報の収集を行う。これまでのアレイデータを元に新規尿中DNAマーカーとなりうる遺伝子を抽出する。尿路上皮がん細胞株、尿路上皮がん臨床検体、尿路上皮がん症例の尿、健常人の尿を用いて、がんマーカーとしての性能をテストし、最適なマーカー遺伝子を決定する。尿路上皮がん切除術後に外来フォローアップされている症例の尿検体から、尿DNAマーカー解析を行い、再発のスクリーニング、あるいは再発リスク予測に応用しうるか検証する。
平成27年度は研究開始初年度ということもあり、臨床検体および臨床情報収集がメインであった。またこれら検体収集には大学院生および病院スタッフの協力を得ることができたため、謝金が発生しなかった。
平成28年度は、収集した検体の解析のために試薬・消耗品費を必要とする。さらに研究成果発表の旅費、実験補助員の人件費に充てる計画である。
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Oncotarget
巻: 6 ページ: 29975-29990
doi: 10.18632/oncotarget.5034.
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