研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、札幌医科大学および関連施設にて、診断・治療を受けた後、外来フォローアップされている尿路上皮がん患者より自排尿検体を採取した。フォローアップ期間における膀胱鏡検査、細胞診検査、CT検査などの臨床情報を収集した。これまで採取した尿検体300検体からゲノムDNAを抽出し、バイサルファイト処理を行った。マーカー候補遺伝子10個のメチル化をMethyLight法、digital PCR法、バイサルファイトパイロシークエンス法などにより解析した。収集した臨床情報とメチル化解析結果を比較検討した結果、尿中DNAメチル化の上昇が治療後再発と強く相関することを明らかにした。再発症例は、尿検体採取時の膀胱鏡検査にて検出された再発と、尿検体採取後のフォローアップ期間に施行された膀胱鏡検査にて検出された再発に分けられた。尿中メチル化マーカーはいずれにおいても高頻度に陽性であったことから、再発検出および再発予測の両方に有用と考えられた。最も好成績であった4マーカー(miR-9-3, miR-124-2, miR-124-3, miR-137)による再発検出能は感度73.1%、特異度71.8%、AUR 0.77であった。腫瘍径、ステージ、再発歴などの因子を調整した多変量解析においてお、尿中メチル化マーカー陽性は再発(OR, 4.956; P = 0.001)および再発リスク(HR, 8.030; P < 0.001)と強く相関した。これらの結果より、尿中DNAマーカーは膀胱がんの診断、および治療後の再発診断、再発リスク予測に有用である事が示された。
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