研究課題/領域番号 |
15K15586
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
畑 豊 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 教授 (20218473)
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研究分担者 |
上浦 尚武 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80275312)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 泌尿器科学 / 超音波装置 / 周波数解析 / 波長限界 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超音波の反射周波数から非侵襲で精細管の径を予測するシステムを開発することである。具体的には、睾丸の表面から検得られる反射超音波のエコーを用いて睾丸内の精細管の直径、位置、特徴を計測し、精子回収可能精細管を予測する方法を研究する。 平成27年度は、管状組織については、超音波反射周波数によってその位置と直径を計測できる原理を用いて目的とする径を有する精細管の有無、位置、特徴を非侵襲的で計測するシステムの開発を行った。本研究では、従来使用されていた短時間フーリエ変換(STFT)の代わりに連続ウエブレット(CWT)変換を用いた方法を開発した。STFTは周波数分解能と時間分解能がトレードオフの関係にあり、直径と位置を正確に導出することが難しい。CWTは周波数分解能と時間分解能の両立が可能である。 現在までに、精細管の精子回収可能群の直径は300μm程度、不可能群の直径は100μm程度であることが分かっている。 本研究では、精細管と類似した極細線状物質として、直径165μm、185μm、260μm、285μmのナイロン糸を用いて、超音波広帯域アレープローブを適用した実験を行った。得られた波形からその直径と位置をの可視化が可能なシステムを開発した。評価実験の結果、CWTを用いた本方法は、窓幅128,256のSTFTの方法と比較すると、周波数分解能と時間分解能(位置分解能)の両方の問題が解決でき、直径と位置の両方を精度よく可視化できるシステムを開発研究できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、超音波の反射周波数から非侵襲で精細管の径を予測するシステムを開発することである。具体的には、睾丸の表面から検得られる反射超音波のエコーを用いて睾丸内の精細管の直径、位置、特徴を計測し、精子回収可能精細管を予測する方法を研究する。 平成27年度は、以下のような実験を実施し、成果を得た。 (1)従来の研究で使用されていた短時間フーリエ変換の代わりに、連続ウェブレット変換を用いた方法を開発して、直径165μm、185μm、260μm、285μmのナイロン糸に適用し、その位置と直径の同時計測に成功した。このようにして連続上ウエブレット変換を用いた、画像方法を開発できた。 (2)実際のヒトの摘出睾丸を用いて実験を行った。測定対象は石川病院で摘出された後,一旦冷凍され,解凍された睾丸とした。測定には2MHzアレイプローブ(公称周波数2MHz,素子数32)を用いた。アレイプローブを徐々にプローブ長軸に対して垂直の方向に動かしながら,その断面の超音波データを取得した。得られた超音波データから,Bモード画像を作成した。そして、周波数的特性を確かめるため得られたデータを一定範囲で区切り、そのエリア内の合計が最も強い周波数を代表周波数として画像化した結果、睾丸内に1MHzから4MHzの変化を認めた。これにより、ヒトの摘出睾丸に対しても、周波数から精細管の太さを認識できる可能性を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、以下で研究を推進する。 (1)平成27年度に開発した連続ウエブレット変換を用いた精細管の有無その位置の判定システムに性能を評価する。そして、このシステムと従来使用していた短時間フーリエ変換を用いたシステムの比較を行い、男子不妊症診断のためのシステムとして、両方のシステムの利点と欠点を明らかにする。 (2)実際のヒトの摘出睾丸を用いた実験を行う。この際、短時間フーリエ変換を用いたシステムと連続ウエブレット変換を用いたシステムの両方を用いて、どちらがより鮮明に画像化できるか検証する。 (3)我々の発見した原理は精細管だけでなく、他の人体組織例えば肺の細管、胆管、血管、卵管、等に応用可能であり、新しい管状組織計測超音波周波数技術として大きく成長する可能性があるため、現在の糸状の物質による実験の他、穴の開いたチューブ状の物質に対しても実験を行う。 (4)球状の組織の直径が超音波周波数によって判定可能かどうかの基礎実験を開始する。もし、これに対しても同様な結果が得られれば、球状物資の硬さや大きさの判定が正確に可能になり、卵胞診断などの医学的応用はもちろん他にも様々な分野で応用が可能となる。
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