研究課題
バイオチューブの臨床評価研究生体内組織形成術により作製された結合線維性のチューブ(バイオチューブ)は動物への移植実験で代替血管として利用できることが示されてきた。本年度は、バイオチューブが代替血管として生体内で機能するかどうかを検証するために、バイオチューブを用いて狭窄を有する透析用内シャント血管のバイパス術を試みた。本臨床研究は天理よろづ相談所病院ならびに国立循環器病研究センターの倫理委員会の承認を得た上で実施した。透析用内シャント狭窄治療のために頻回に経皮的血管形成術を実施している患者の中で、文書で同意を得た2名を対象にした。腹部皮下に内腔径5mmまたは6mm、長さ7cmの鋳型を留置し、2ケ月後にバイオチューブを摘出した。70%エタノール中で保存し、翌日にシャント狭窄部位をまたぐようにバイオチューブを移植しバイパス術を行った。術後1週間以内に造影検査を行ったのち、1ケ月ごとに造影検査を行い狭窄の有無を評価した。バイオチューブは既存の人工血管より柔らかく縫合が容易であり、縫合孔からの出血をほとんど認めなかった。術後一定期間が経過した時点で透析時にバイオチューブそのものに穿刺を行ったが止血は容易であった。バイオチューブ移植後3ヶ月、2ヶ月経過時点において、バイオチューブ形状にほとんど変化なく開存していた。ヒトバイオチューブが代替血管として透析用内シャントの修復に有効に利用できることが示された。
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