研究課題/領域番号 |
15K15593
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
熊澤 由紀代 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70400504)
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研究分担者 |
熊谷 仁 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60333936) [辞退]
佐藤 亘 秋田大学, 医学部, 助教 (10726441)
椛嶋 克哉 秋田大学, 医学部, 技術系補佐員 (30615422) [辞退]
佐藤 恵美子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術系補佐員 (00638273) [辞退]
白澤 弘光 秋田大学, 医学部, 医員 (60598019)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顕微授精 / センダイウイルス / 膜融合 |
研究実績の概要 |
現行の顕微授精(卵細胞質内精子直接注入法, Intracytoplasmic sperm injection: ICSI)は精子注入時の卵子の紡錘体の損傷・細胞骨格の破壊等が指摘されている。近年の生殖医療において、挙児希望女性の高年齢化に伴う卵子の質の低下は大きな問題であり、より卵子へのダメージの少ない顕微授精技術の改善が望まれる。また、生殖医療においてICSIによる受精率、変性率、胚発育には、少なからず技術者間の差が認められ、より平易な臨床技術の開発および標準化は、依然として望まれる。顕微授精により卵子が最もダメージを受けるプロセスは、卵細胞膜の穿破と細胞質の吸引である。この卵子内への精子の導入の工程の自動化、すなわち卵子と精子の人為的膜融合が可能となれば、卵子へのダメージの軽減および技術者間の差の最小化が期待される。 本研究では、次世代の顕微授精法の実現に向け、卵子内への精子の導入を自動化する卵細胞膜穿破を介さない新規顕微授精法の確立を目的とし、マウスをモデルとして不活化センダイウイルスを用いた精子・卵子の膜融合による授精実験を実施した。 融合至適条件の確立のため、透明帯を裸化した卵子細胞膜に対しセンダイウイルスを感作させた精子を接着状態で維持し、センダイウイルス感作濃度、感作時間、接着状態維持温度、接着状態維持時間の検討を実施中である。 現在までのところ、精子と卵子の膜融合に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までのところ、精子と卵子の膜融合にはいたっていない。 センダイウイルスの融合能を確認する基礎検討において、検討条件下での卵子細胞質同士の融合は確認済みである。 精子頭部構造の最外層である先体外膜が影響を及ぼしてる可能性がある。 センダイウイルスを介する膜融合では細胞膜の種類を問わず融合可能であるが、先体外膜に関しては膜融合を誘起できない可能性がある。 通常の受精において卵子細胞膜と融合するのは先体外膜が外れ露呈する、先体内膜である。
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今後の研究の推進方策 |
先体の除去により先体内膜を露出させ、卵子と精子の融合が可能か検討を行う。 融合が可能となったら、受精能、胚発育能を検討し、移植実験により産児を得ることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の進捗状況の遅れにより、胚培養関連の試薬および消耗品の購入想定費用に余りが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加等情報収集を行い、膜融合の確立に続き、研究計画通り胚培養および解析を進める。
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