研究実績の概要 |
母親と胎児の超音波ドプラ心音を用いた胎児心拍細変動解析機能を有する新分娩監視装置の開発研究において、これまでに胎児のドプラ心音に含まれる雑音を、ウェーブレット解析を用いて除去する方法、実験を行い、高域部分の雑音除去の効果があることが分かった 29年度は、次の二つの問題、(1)得られた反射信号波形から自動的にRR時間を自動計測する方法を検討する問題と、(2)胎児が子宮内を自由に動くために、固定された探触子からの超音波送信が胎児に照射されず、胎児の心臓に当たって生じる反射信号が探触子に戻らない、すなわち、胎児心音の連続心拍計測ができないという問題について、検討並びに実験を行った。 (1)については、Matlab上で心拍RR時間検出プログラムを試作して実験 を行った。超音波ドプラ心音波形のエンベロープ(包絡線)を取り、(i)matlab上のpeak関数を用いてそのピーク位置とピーク値を求め、(ii)ピーク間隔を胎児の場合は120~160rpm(250ミリ秒~375ミリ秒), 母親の場合は60~80rpm(500ミリ秒~750ミリ秒)以下を切り捨てるパラメータを設定することにより、RR時間を求めることができる見通しを得た。 また、(2)については、胎児は子宮の胎盤上に臍帯動脈を付着させているために、胎児が動いても臍帯動脈の動く範囲は限られることに着目して。その臍帯の動脈に超音波を当て、連続した脈拍計測を行う方法を考案し、その成果を特許化して、特願2018-033482「心拍計測処理装置」(福井大学)として申請した。本手法は双子の心拍計測にも有効な方法と考えられる。 今後の予定は、さらに多くの被験者に対して実験を行って、有効性を定量的に評価を行っていきたい。
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